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「霞ヶ窪が言っていた『政府』という言葉だよ」
これで繋がる。
ばらばらだったパズルのピースが少し埋まったような物だけど。ばらばらよりは幾分かマシってものだろう。
『一族』が九紫一族のこと、所謂、九紫戌亥のことで。
『政府』が戯贈の両親のことで。
これを合致させれば、繋がる。
「霞ヶ窪が言ってただろ？ 断片的に聞こえてきた会話を。つまりはそれで仮定の確定率を更に引き上げることが出来る」
それでもまだ、仮定の域は出ていないのだけれど。ただ確率が上がっただけだ。
「そういえば、ある時期から兄は政府、国家を毛嫌いしていましたね。それが関係しているのでしょうか」
「なくはない話だな」
あくまで、なくはない話。
「他の仮定に可能性が見いだせないなら、今ある可能性を潰していくしかないわね」
と、戯贈。
「さすがの私もこのままじゃ終われないわ。何故、両親が殺されたのか分からないままじゃ終われない。人間だもの」
戯贈は淡々と表情を変えずに話してはいるが、内に秘めた感情は相当なものだろう。
両親殺しの犯人に辿り着こうとしているのだから。求めていた物を手中に納めそうなのだから。
　「しかし、解せないな。政府が嫌いだからと言っても、殺すまでの理由には至らない。そこに何かあるんだろうな。最後の鍵が」
　分からないものを、いくら考えても結局は仮定しか生まれないのだけれど。
　未知の出来事なのだから。未知とは無知なのだから。
　「私が、お話しできるのはここまでです。お力添えが出来なくて申し訳ありませんでした」
　九紫は、僕と戯贈に向かって深々と頭を下げた。
　僕には、その九紫の謝罪が懺悔にも見て取れた。まだ確定したわけではないのだけど、自分の兄が犯してしまったであろう、罪を償うかのような贖罪か。