サイコシリアル [3]
「そうね、私は涙雫君のことが好きよ。これ以上のないくらいに、好き。恋愛感情かと問われれば、ほぼ確実にそうでしょうに。好き、というより惹かれているのだから」
「・・・・・・え?」
「私は、あなたに、涙雫君だけに惹かれているのよ」
デジタル時計に表示された『AM:3:27』。
僕が産まれて初めてであろう告白をされた瞬間だった。
「魅かれている、とも言えるわ」
「僕は・・・・・・」
「何も言わなくてもいいわよ、涙雫君。これは私の一方的な気持ちの表れなだけであって、それを伝えただけなのだから。気にしないで頂戴」
戯贈表情を変えずにそう言った。照れてもなく、デレてもなく、ということは真摯な想いということなのだろう。
表情を変えずにそんなことを言う戯贈に混乱して、何も言えない。
正直、戯贈のその言葉には救われた。
もしかしたら、戯贈は、そんな僕の気持ちを汲み取ってくれたのかもしれない。
「話が急に変わるのだけれど、涙雫君。霞ヶ窪さんが言っていたことは覚えてる?」
本当に急展開だな。ジャンル分けすると、恋愛物からシリアス物に変わるぞ。
・・・・・・霞ヶ窪が言っていたことか。
戯贈の過去のことだろう。
両親を殺された過去。
「戯贈の過去のことだよな・・・・・・?」
「そうよ、私の過去」
「両親を殺された・・・・・・」
「そう、両親を殺された。目の前で、無惨にも残虐に」
「だから、戯贈は殺し屋になったんだよな」
「端的に言ってしまえば、そういうことになるわね。さながら、復讐の鬼とでも言えばいいのかしら。両親を殺した奴を追う、復讐の鬼。けれども、それは戯れ言に過ぎないわね。結局それは理由付けなだけで、殺し屋になるということとイコール関係では結ばれないのだから」
「どちらかと言うと戯贈はあれだよな。何て言ったらいいか分からないけど、同じような目に合う人たちを減らす為に殺し屋をやっているみたいだ。個人的にだけどね」
殺人行為を殺す、殺し屋。これは戯れ言ではなく、綺麗言に属するのだろうけど。
「それも一理あるわね。ほんの一理だけど。まぁ、それはいいわ。ここで重要なのは、私の両親が殺された時に、犯人が言っていた言葉よ」
それも霞ヶ窪が言っていたことだ。
作品名:サイコシリアル [3] 作家名:たし