眠れない夜を越えて
猫の公園に向かう。
公園にずっといられないなら、猫達を連れて帰ろう。
一緒に眠ってもらおう。
1番最初に見た黒い子猫と懐いてくれている3匹と一緒に家に帰った。
柔らかいタオルを何枚も重ねて猫用ベッドを作ってあげる。
「一緒に寝ようね」
落ち着かない猫たちをじっと見つめている内に、私は何年かぶりにベッドで眠った。
明け方、
私は猫達を連れて公園に向かった。
「急がないと」
またばったり会ってしまうのはごめんだ。
いくらも寝ていないけど、気にしてられない。
猫達を入れたかばんをなるべく揺すらないように走った。
息をきらせて公園に入ると、いつかの男の人が立っていた。
「何をしてるの?」
低い声が告げる。
私はゆっくり、かばんを下ろして猫を放した。
「なにって…」
「にゃあ~」
三毛猫まで低い声で鳴いている。私が連れ帰っていた猫達が駆け寄っていく。
「・・・ごめんなさい」
私はその場から逃げ出した。
作品名:眠れない夜を越えて 作家名:ゆまり