眠れない夜を越えて
学校を休んだ日、お昼頃ようやく眠気がきた。
ゆっくりベッドに寝転ぶ。
なにが狂っているの?
眠れないのはどうして?
あんな気持ち悪い手紙さえこなければ自由に居場所を探して、眠れない日はもっと少なかったはずだ。
猫の公園も一人占めできたのに。
眠れない。
私は紙屑が入ったゴミ箱をあさり、くの字に折った手紙を探し出した。
自分の携帯から相手、寺島の会社に電話をかける。
『お電話ありがとうございます』
2コールで明るい女性が電話に出た。
「内線573お願いします」
『はい。少々お待ち下さい』
のんきな音楽がしばらく流れ、突然終わった。
『はい、寺島です』
「・・・」
『もしもし?』
「・・・」
『もしもし? 寺島ですが?』
「・・・今日猫の公園に来て」
『えっ 知紗ちゃん?』
返事はせず、すぐに電話を切った。
胸がドキドキしていた。
文句を一方的に言うつもりが呼び出してしまった。
作品名:眠れない夜を越えて 作家名:ゆまり