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強気恋愛。 第一章

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 もちろん岡森がウチの事を好きになってくれたら一番嬉しいけど、恋愛対象じゃなくてもいいから「友達」にはなりたかった。ウチが笑顔でいたら仲良くなれるかなって、すごく考えた。そして笑顔でいようって思った。


 しばらく経ったある日、HRの時に担任が、競技大会のレースの予選のことを言ってた。「みんな応援も行ってあげてな」

 岡森もエントリーしていたことを思い出した。その日は1日中応援に行くか行かないか考えた。

 放課後。どうせ暇だから行こっか、って思って、仲良しの愛と望月と一緒に応援に行った。一瞬で岡森を見つけた。岡森が走る番になったけど、「頑張れ~~~~~」としか言えなかった。名前を言えなかった。でも走る直前に目が合った。ウチは、ちょっとでも励まそうと思って1年生の時、まだ両想いだった頃によく岡森に見せていた悪戯っぽい笑顔を向けた。一瞬、ほんとに一瞬だったけど岡森も笑顔になった。その後に思いっきり「頑張れーーー!!!」って叫んだ。

 走ってる岡森はすっごいカッコよかった。すごい速かった。みんなも速かったから1位にはなれなかったけど、1番カッコよかった。


 教室に帰ろうと3人で廊下を歩いてたら2組の教室に入っていく岡森を見た。急いで3人で走っていくと、教室に岡森だけがいた。

 2人が「おつかれ~」「おつかれ~~」って言ったら「おう」とかそれぞれに返して、とっさにウチも「・・・っおつかれ」って言った。なんか返してくれると思ったのに岡森は驚いたみたいに沈黙でこっちを見たまま止まった。

 でもウチは戻れるチャンスだと思って1年生のときに話しかけてたみたいな口調で「・・・っ何の沈黙やねんw」って言ってみた。そしたら岡森はウチの一番好きなしぐさ(ヒョイって首をかしげる)を返した。ウチはそのまま「なんでメール返してくれへんのよ~・・・っなんの無視やねん!」って言ってみた。岡森は何も答えなかったけど、ちょっと笑顔だった。

 岡森が廊下を曲がって見えなくなった瞬間「・・・っはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」って絶叫。「なっちょっおっ・・・あぁぁぁ!!!?」言葉になってない。ずっと2人にしがみついて「なっななななな!!」って叫んでた。ずっとお互いに無視し続けてたのになんで話し掛けれたのかわかんなかった。

 でも、これからずっと、何かが起こる気がしたから諦めようとするのはやめようと思った。

 頑張ることに決めたウチは、勉強に対しては絶対に見せないくらいのやる気でいろんなことに立ち向かってた。・・・立ち向かうほど何かがあったわけでもないけど、まぁウチなりに頑張ってみた。でも結局競技大会の練習も特別に凄い事とかはいつも通り何もなくて、ただ単に暇な練習が続いてた。


 2日後に本番を控えたリハーサル。やる気が無かったウチは笑顔少なくで応援もせずに黙ってた。ふと後ろにある高鉄棒を見た。鉄棒の近くに愛がいた。愛のところにいったら初めて気付いた。

 真横に岡森がいた。岡森は友達と鉄棒で懸垂してた。

 岡森の友達が鉄棒から落ちた。その落ちたフォームが超ツボだったらしく、岡森はずっと爆笑してた。爆笑してる岡森が可愛くて、ウチも爆笑した。

 岡森が懸垂を始めた。色白で細いのに意外に力が強くて、それがすっごいカッコよかったから「10回やってや!」って勢いで言った。無視されると思って全然期待してなかったのに「10回とか無理やし!」って返してくれて、それがすごい嬉しかった。岡森がどこかに行った後もずっと爆笑してた。とにかく楽しいって思った。競技大会がすごく楽しみになった。


 競技大会当日。すごく楽しみにしながら登校した。1組が嫌いだったから、岡森のいる2組に絶対勝ってほしいと思った。ずっと2組を応援し続けた。自分たちが勝つかどうかなんてどうでもよかった。岡森が勝ってくれたらそれでいいと思った。というか岡森に勝ってほしかった。勝って、喜んでる姿を見たかった。

 岡森のことだけをずっと見ながら競技大会が進んだ。そしてそのまま終わった。

 結果は、岡森のチームが1位。誰より喜んだのはウチだった。ウチのチームは2位で、微差だった。すごく嬉しかった。みんなはすごく悔しがってたけどウチはどうでも良かった。岡森が勝ってくれたから他はどうでも良かった。

 ・・・1つだけ、すごく気にしていた。競技大会が終わってしまったことで、岡森との繋がりが切れてしまう。「誘導係」が一緒だった事が唯一の繋がりになってたのに、それが切れてしまったらまた「他人」になってしまう。

 競技大会が終わっても繋がりが切れないことをすごく祈りながら教室に戻った。すごい不安に襲われてしまった。「もう関われなくなる」そればっかりが頭の中を回っていた。

 大会が終わって放課後。岡森の声が聞こえた。「俺誘導の腕章返しに行かなあかん~」

 それを聞いてウチも誘導係で使った腕章を返しに行くのを忘れていたことに気付いて急いで腕章を手に取った。そして少しだけ期待をかけて、階段を駆け上がった。

 3年生のフロアの廊下をUターンしてくる岡森の姿が見えた。まだ手には腕章を持っていた。係のリーダーの先輩のクラスがわからないらしかった。目が合った。その瞬間からの記憶がほとんど残ってない。

 確か、「俺腕章かえさなあかんねんけど」「ウチも。」「武田さん何組?」「えーっと・・・」みたいな感じになって、クラスがわかって一緒に先輩の机に腕章を置いたことだけ覚えてる。その後はパニック状態になりながら一人で帰ったと思う。誰かと帰ったかもしれないけど、それどころじゃなかった。岡森のほうから喋り掛けてくれたってことばっかりずっと考えてた。

 でもウチの悪い予想は当たっていた。競技大会が終わったらホントに繋がりが切れてしまって、全然関わらなくなってしまった。いろんなことにすぐイライラして、ミユたちとも関わらなくなった。昼休み、昼食を食べ終わると人から逃げるように図書館に行った。図書館でも奥の方の古い本を一人で読んでた。人と関わりたくなくて、常に単独行動だった。


 2学期中間テストまであと1週間になった。友達と一緒に放課後に図書館で勉強することになった。カバンを持って図書館に行ったら岡森がいた。反射的にそっちを見てしまったけど気付いてないのかわざとか、無視されてしまった。

 いつもの事だからあまり気にしなかったけど、やっぱり1年の時のことを考えるとちょっと悲しくなった。もういいやって思って、勉強に没頭した。毎日そんな感じで図書館で勉強していた。

 テスト当日。テスト中もやっぱり岡森のことが気になってた。1年の時はよく岡森と勝負してた。ウチのほうが普通に頭よかったから常に勝ってたけど、勝ってることよりも岡森が毎回負けるくせにテストが返ってくるたびにいちいち悔しがるのが可愛くて、だからテストが好きだった。テストが終わったら席替えだけど、席替えしても隣になることは確信してたから不安なんかなかった。
作品名:強気恋愛。 第一章 作家名:凛奈