強気恋愛。 第一章
テスト1時間目が終わって廊下に出ようとしたら、出会い頭に岡森とぶつかりかけた。お互いにすっごいびっくりして一瞬立ち止まって目が合ってお互いにだまって通り過ぎた。黙ってたけど嬉しかった。
そのあとテストは順調に進んで、結果が返ってきた。まぁ思ったとおりボロボロの成績だったけどコイツよりは高い自信があったw
その日の昼休み。ウチの教室の後ろで男子がたまってた。その中には岡森もいた。話しかけようと思って近くに行ったけど引き返して、また寄って引き返して、至近距離まで行って戻れなくなって、眼光飛ばしながらの笑顔で「テスト合計何点やったっ?」って聞いてみた。一瞬びっくりしたみたいだったけど結構さらっと教えてくれた。・・・けど、
・・・とんでもなく低くてw「はっ!?1教科何点とったらそんなことなんの?」って言ってしまったwでもまぁ1年の時とは何ら変わりなくてちょっと安心した。
帰り道。男子バレー部の集団がすぐ前にいた。テストの結果のことを喋ってた。ウチらも入って一緒に喋った。岡森が自信満々に「俺5教科498点やもん」とか言い出して、横の奴が「俺なんか499点やもん」って言って、後ろの奴が「俺500点~」って言って、岡森が「いいってそーゆー嘘w」って言った。結局3人とも嘘やけどw盛り上がりが1年の時の教室みたいですごい楽しかった。
でもそれから、前進も後退もないままに時間だけがすぎていった。ウチは岡森がウチの事を嫌ってるって知ってたけど、また好きになってもらえるんじゃないかって思って可愛くなろうと、好きになって貰おうとしてしまう。
でもやっぱり岡森とウチは関わることがなく、ウチの心は荒んでいくだけだった。
最後の望みを賭けて、ミユとともに、仲良しだったミユ、倉谷、岡森、ウチの4人で遊びに行く計画を立てた。
ウチが「アホの聖地」って呼びながらも、頻繁にこの4人で遊びに行ってたところだった。半年以上行ってなかったけど、またそこにそのメンバーで行けばあの頃みたいに両想いに戻れるんじゃないかって期待してた。・・・期待しすぎてた。
期待が大きかった分、落とされる高さも高くなった。日にちが合わず、2回の変更でも結局断られ、場所も変えて、メンバーも変えて。もはや何やってんだろうって感じだった。あの頃は皆で楽しんでたのに、結局成長してないのはウチだけで、みんなはあんな「アホ」な遊びには飽きてしまった・・・らしい。だからもう、岡森と遊ぶこと自体を諦めて、好きになるのも諦めて、一生離れていようって思ってみたりもした。
毎日送り続けたメールも、奇跡的に数ヶ月ぶりに返ってきたけどたった4往復のやり取りで2人が繋ぎ留められるわけもなく。すぐに向こうからかえってこなくなった。4往復の間にウチが使った「真剣のリアルの一生のお願い」も完全に無視された。
岡森がウチの事を好きになってくれないから、ウチはどんどん暗くなって、暗いウチを「陰キャ」って言ってクラスメイトに嫌われて、また落ち込むからもっと岡森が見向きもしなくなって。悪循環だった。「嫌」とかいうレベルを超えていた。本気で死のうと思ったくらいだった。
一生のお願いも聞いてくれへんとか、嫌われすぎやろウチw って一人で笑ってみた。笑ってるのに涙が出た。笑い泣きやんって笑ったけど、笑ってられなくなって泣いた。泣いてる自分がアホらしくなって、もっと泣いた。全部が嫌になった。岡森の事も諦めて、一人でいようって思った。
ウチが「ウチ岡森に嫌われてるねん」って友達に言っても、「絶対無いってw岡森絶対凛奈のこと好きやって」って言われる。その子達は気をつかってそう言ってくれてるんだろうけど、ウチはそれを聞くたびにイライラした。ホントに起こってることも知らないで「大丈夫」とか言われても幸せな自分たちのことを見せ付けられてるようにしか思えない。そう思うほどに性格も悪くなった。その悪い性格がさらに岡森に嫌われる原因になった。
全部を諦めて、自分のことだけ考えていようって決意したりするけど、もともとの性格が優しすぎたウチはそんなことが出来るわけも無く。結局ずっと、誰にも見られないように泣いて、人前ではずっと愛想笑いで、ストレスがどんどん溜まっていくだけだった。
そしてついにあの日から1年が経った。冬休みが終わったウチは愛たちとカラオケに行く計画を立てていた。
ウチと愛が計画を立てて、愛が城岡に伝えて、城岡が岡森を誘う って決めてた。ウチなりに頑張って期待しないようにしてたのに、やっぱり内心期待してた。でもコイツは「案数がおるなら嫌」って言ったらしい・・・。愛が理由を訊いたら、「嫌いやから」って。
しかもその嫌いってのは、勘違いからきてて。ウチは何もしてないのに嫌われたって事。・・・こうなってしまったらもう、あの頃には戻れない。
それでも岡森を嫌いになれない自分が鬱陶しい。岡森に対して「ウザイ」とかの感情をまだ1度も抱いたことがない。・・・嫌いになれたら楽なのに。
もうウチは岡森に「可愛い」って言われることも、「大好き」って言われることも、
・・・喋ることもないんだろうって、確信した。
楽になりたかった。