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強気恋愛。 第一章

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 なんかすぐ終わってしまう気がして、終業式がもっと間延びしないかと思ってカレンダーと時計は見ないようにしてた。でもすぐに1年生は終わってしまった。

 春休みは無駄に長く感じた。早く学校に行きたくて、今度は何回もカレンダーを見てた。いつの間にか春休みは最終日になった。用意を一瞬で終わらせて早く寝た。早く学校に行って、岡森に会いたかった。


 2年生初日。すっごい急いで学校に行って、クラス発表の表を見た。

 自分のクラスより先に岡森のクラスを確認した。岡森は2組だった。2組の中にウチの名前を探したけど何回確認してもウチの名前はなかった。クラスが離れてしまった。

 1組の中に自分の名前を見つけたけど、1組の名簿には仲良しの人の名前が全然なかった。

 「1年間の絶望が決定・・・」って思ったけどそれは口に出さないで、唯一、本当に唯一同じクラスになった友達の のんちゃんに「同じクラスやって~!!やった~☆ウチはこれで1年間楽しく過ごせるわ!!」って言った。言いながら、すごく寂しいと思った。

 いつも一緒にいる2人の親友も、同じ部活の友達も、他の人よりも仲がいい男子とも、岡森ともクラスが離れて、すべてにおいて一人ぼっちになった。

 しかもその代わりかウチのことをやたらと目の敵にしてくる男子集団と、同じくウチの事をすごく嫌ってる女子集団と同じクラスになってしまった。

 新しい教室に絶対入りたくなかったウチは、始業ギリギリまでミユと一緒にいた。

 ミユの教室にずっといた。ミユとしか話さなかったし、ミユのことしか見なかった。見たら悲しくなるから岡森のことは見ないようにした。

 最後の最後まで教室には入らなかった。

 チャイムが鳴って仕方なく教室に入ってもウチはずっとのんちゃんと喋ってた。のんちゃんとは席が前後だったから、それだけが心の支えだった。

 新しいクラスの「お友達」とは喋ろうとしなかった。面倒だって思った。毎日泣きそうだった。はっきりとした記憶が残らないまま1学期も終わりに近づいた。


 1年生のときのウチは「どんなに嫌でも、1個でも行きたい理由があるんなら行った方がいいでしょ」って考えてた。そのときの「行きたい理由」は隣に岡森がいるから だった。

 でも岡森がいない上に他の友達もいないクラスには、行こうと思えなかった。

 ウチの事を嫌ってる女子たちからの嫌がらせに耐えられなくなった。岡森とも会えないから、「行きたい理由」が無くなった。

 ウチは学校を頻繁に遅刻するようになった。教室に入りたくなかった。3時間目まで時間を潰してから行ったりもした。欠席もした。

 学校には行きたい理由どころか行く意味も無くなった気がした。


 遅刻の回数が減っていった。ウチの愚痴を聞いてくれる人がいた。信用して全部を話せた。よく放課後に教室にいて、すごい優しくて、ずっと頼ってた。可愛い名前だなって思ってた美湖。美湖も今のクラスが嫌いって言ってた。すごくウチのことを解かってくれるし、ウチもすごく美湖のことがわかる気がした。


 夏休み、ミユの家族たちと花火を見ながらバーベキューをする約束をした。

 ミユと「男子も誘おっか☆」って話になって、流れで岡森を誘うことになった。ミユはウチが岡森のことを好きだって知ってるから、ウチにメールさせた。

 「○日の花火大会のときに ミユたちとバーベキューするから来て」

 バーベキューするけど来ーへん?って打ってみたけどそれよりも「来て」の方が来てくれる気がした。送ったけどなかなか返ってこない。

 「メールを受信しました」

 やっと来たって思って開いたけど、「俺もその日花火&泊まり」って書いてあった。

 「泊まり!?」「そう」そっか・・・その後になんて返信したかは覚えてないけどすごく落ちこんでた。せっかくもうちょっと頑張ってみようかなって思ったのにやる気が無くなった。

 バーベキューはすごい楽しかったけど、なんかが足りないってずっと思ってた。

 なんか が何かは解かってた。でももう岡森のために頑張るのは諦めようって思った。

 夏休みが終わる40分前までミユと電話してた。学校が始まらなかったらいいのにって思った。

 でもやっぱり学校が始まったら好きって思うようになった。心に余裕が出来たのかもしれないけど、1学期の頃よりもよく目が合ってる気もした。

 夏休み中、いろんな男子に会ったし元彼とも会ったけど、やっぱりウチの好きな人は岡森なんだなって思った。ウチのことを嫌ってる女子からの嫌がらせは絶えなかったし、むしろ激しくなっていったけど耐えることが出来るようになった。美湖が全部話を聞いてくれた。

 でも色んなことで活躍したりする気は起こらなかった。競技大会のリレーの走順は真ん中になった。授業で発言することもなかった。部活も休むようになった。ミユ達ともあんまりうまくいかなくなって、結局一人で帰った。全部が嫌になった。

 それでもやっぱり、岡森のことを見たらちょっとだけ元気になった。岡森の事を見たらすっごい悲しくなって寂しくなって、泣きそうになるけど、カッコいいって思って可愛いって思って、好きって思うから、元気になれた。また岡森に会いに学校に行くようになった。

 ウチは体育が嫌いだった。でも今は体育が一番楽しみになってる。競技大会の練習。普段は女子だけで2クラスずつだけど競技大会の練習は基本的にリレーだから男子も一緒。隣のクラスには岡森がいる。だから初めはめっちゃテンションあがってた。でも、何やってもこっち見ないってわかった。結局もういいかなって思ったりした。

 
 でも信じてたら、やっぱりちょっとだけ近くなった。また部活休んで教室で美湖と遊んでた。好きな歌の歌詞を黒板に書き合ってた。
 
 「涙?出ないくらい シラけてるのよ
  愛はもう終わったの 気付いているはずよ
  そんな目しないでよ ツマラナクナル
  In fact I love you
  傷つけてあげる ・・・淡く想い出に消えて」
  (YUI:Kiss me)

 YUIのKiss me歌詞が大好きだった。すごく今の自分の状況に合ってる気がした。

 ふと見ると、廊下で男子が競争?してた。廊下にある線の上に並んで。岡森もいた。

 「男子って競争・・・好きやんなー」とか言ってたら男子のうち一人(岡森じゃない人)が「よーいどんって言って」って言ってきたからウチは素直に「よーいどん」って言った。

 直接岡森と喋った訳じゃないけどウチのよーいどんに岡森が走り出してくれたのがすごい嬉しかった。

 目が合ったら自然に笑顔になれた。作り笑いじゃない、本物の笑顔って何ヶ月ぶりかなとか思いながらずっと向こうまで走っていく岡森を見てた。向こうまで走っていってもスタート地点(ウチの教室の前)まで戻ってくるから嬉しかった。

 岡森とすれ違うとき、ウチはいつもわざとキレたみたいな顔してた。なんでか解かんないけど、そうしないといけない気になってた。でも岡森と目が合った瞬間の顔が久しぶりに笑顔で、笑顔を見せれたことが嬉しかった。
作品名:強気恋愛。 第一章 作家名:凛奈