小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

D.o.A. ep.8~16

INDEX|8ページ/43ページ|

次のページ前のページ
 




「ずいぶん迷いないんだな」

率先して前をすたすた行くティルバルトに、そう声をかける。
洞窟へ行くにあたって、その周囲には森があった。なんとなくいやな気配が漂っている。
そして、一度も来たことのないそこを、なぜか彼はよどみなく歩いていく。魔物にも出会わない。
「ティルバルトさん、道、ご存知なんですか?」
もし知らずになんとなく歩いているとしたら、そんな彼になんとなくついていっている自分たちも危ないが、
彼の足取りは完全に道を知る者のそれであったため、然程の心配はしていないものの、ロロナは一応訊ねてみた。
「………」
しかし彼は無言である。聞こえていないはずはない。
答えたくないからなのか、または、こうして進んでいることで察しろという無言の肯定なのか。
彼の行く道はどことなく誰かが通った形跡のある場所だけだが、こんなところ、誰も入るまい。ならばいったい、この痕跡は誰のものなのだろう。
木漏れ日は弱く、薄暗い森の中は、絶え間なく鳥の羽音や獣の唸りなどが聞こえてくる。
何が起こるかわからないような空気が、彼らの緊張感を高めていた。

「あ、れ…?」

ライルは不意に声を上げる。
「なっ、何よ。ヘンな声出さないで、びっくりするでしょ」
つんのめりかけたリノンが振り返って顔をしかめる。ごめん、とライルは謝りながら、
「あっちに誰かいた気がして」
「そんなはずないわよ、こんなトコ、誰が好き好んで入るの」
と、一歩足を進めた直後、彼女は足元に違和感を覚える。
ヒュン、と空気を切る音がし、何かがリノンの腕をかすめ傷をつくっていった。
「いった!」
リノンの横にある太い木の幹に、針が突き刺さっている。

作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har