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D.o.A. ep.8~16

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「ハァーイ!グッモーニーン!みんな、揃ってるぅ?」
手を振りながら、いつものごとく不必要なまでにばっちり化粧を決めたユーラム=オルドリーズ少佐が現れた。
彼と顔を合わせるのは、基本的に報告書を提出する夕刻頃のみであったが、今日は何かあるのだろうか。

「揃ってるわね〜。じゃ、ちょっと聞いて頂戴。まずヘクトちゃんのことなんだけど」
「あの、しってます…それ。ヘクト軍曹のおじいさんの…」
そう切り出したユーラムを遮るように言ったリノンがいたましそうに目を伏せ、言葉を切る。

「そのことだけど、危篤だったヘクトちゃんのおじいさま、今朝一転して元気になったらしいの」

「え」
「死にそうだったのがね〜。ホントに奇跡としか言いようがなくて、あんまりにもめでたいもんだから、
せっかく親戚一同集まってたことだしって、復活を祝ったパーティやるんですってよ」
「……」
「で、ヘクトちゃんは、なら俺は仕事へ行くって言い張ったんだけど、結局抜け出せなくて、今日はお休みするらしいわ。
ま、そういうことだから、明日からは普通に復帰よ」
「そ…そうなんですか…、それは、良かった…」
喜ばしい報せであるが、脱力感も半端ではなかった。
うっかり黙祷など捧げてしまったことを後悔する。

「まず、と言ったが」
そんな、なあなあになった雰囲気を正すような声が発せられる。
「本題はなんだ」
ティルバルトが、鋭い目で、たるみかけた空気を睨んでいた。

「あらん、なぁによぉ〜、最初あれだけ巡回ヤダヤダってゴネてた子が、すっかりヤル気満々じゃないの」
にんまりとユーラムはからかうように笑む。くねくねとした動きに、彼は思いっきり顔をしかめて舌打ちした。
「そう照れない、ティルちゃんの成長、お姉さんは嬉しくてしょうがないんだから〜ぁ」
「いっぺん死ね」

こうしてみると、ティルバルトという青年は意外と表情豊かなのではないだろうか。
あくまで「喜怒哀楽」の「怒」にのみ特化しているが。

「…とまあ、おふざけはこのくらいにして、話を進めるわよ」
にわかに真面目な声で言って、傍にあった、椅子と一体になった休憩用のテーブルの上に、地図を広げた。


作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har