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D.o.A. ep.8~16

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「爆光弾(イクスプ・ブリット)!」
魔術による複数の光弾を放つ。命中した獣たちが、空中で弾けとんでゆく。
一度に両手より多い数を始末できるが、そんな抵抗は蟷螂の斧としか言い得ない。
増えに増えたそれらは我先にと、破裂した同胞に臆することなく向かってくる。
一体一体はさほどのこともない、トータスでよく見る野獣タイプだが、数の力はそれを覆しかねない。
矢を構えるのが大して隙にならない自負はあるものの、現実問題として矢が尽きてしまう。
かといってこのおびただしい数を殺せるほどの魔術を使い続けるだけの魔力もない。
それに、食いつかれでもしたら、と危ぶむ。
己の心配ではない。眠り続けるライルは完全に無防備で、ティルが少しでも気を抜けばたちどころに餌食になろう。
バスタードやトリキアスを放置するのは避けたいが、場合によっては遁走も考えねばならぬ。
ティルの鈍い銀の眼が出入り口を確かめた。
「光あれ(ライティング)!」
目くらましまで光度を上げた光球を群れにぶつけ、視界の利かないそれらに、再度爆光弾を唱えた。
断末魔さえ上がらない一瞬の死をもたらす光弾が、次々と魔物どもを内側から破裂させる。
が。

その術から、運よく生き残ったものがおり―――ティルはその存在を見逃してしまっていた。

「…?!」

それは弾けた同胞の残骸から飛び出し、牙をむき肉を喰らいつくさんと襲いかかる。
だがその標的はティルではない。―――彼の背後で気を失っている、黒髪の少年だ。
己に降りかかることならいざ知らず、とっさのことに反応が間に合わない。


「…あ、…ぐ…」

爆光弾より発動の早い爆光矢を口にする直前、その爪と牙は、ライルに届いていた。
鋭利な牙が、彼の首に近い場所へ突き刺さる。

「…ッ、…ぅああぁぁああ…ッ!!!」

体にのしかかり、肩肉を引きちぎる。痛ましい悲鳴が上がった。
その体に続々と魔物が群がって行く。
「く!」
しまった、助けなければ、そう思うのに、己にも飢えた獣が尽きることなく襲い来るために余裕ができない。
視界の端に、のしかかる重さに抗わんとするライルの手が見えて、いっそう焦る。
やがて、その手が、ぱたりと落ちた。

「ラ……ッ!」


その直後のこと。
―――ゾッ、と背筋に冷気に似たものが走った。



作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har