D.o.A. ep.8~16
おや?
違和感を不意に覚え、立ち止まる。
いつの間にやら一人である。さっきまで確かに、トリキアス、ティル、自分の三人で歩いていたのに。
しかも真っ暗だ。何も見えない。生ぬるい空気がよどんでいる。洞窟のしめった冷たい感じとは、まるで異なる。
「…?」
ひたすら疑問符を浮かべるしかない。なにがなんだかわからない。
「ティルー!トリキアスー!」
とりあえず、同行者の名を叫んでみた。
響くこともなく、すぐに闇へと吸い込まれていく。
手に触れるものは何もなく、立っているはずの足元さえ希薄で、ひどく不安定な気持ちになった。
歩く。その足は徐々に早まっていく。暗闇の中をひた走る。いつかの夢に似ていた。
「どー、なってるんだ、よっ!」
やけっぱちになりながら駆け続ける。もう、進んでいるのかどうかさえ曖昧になってきた。
そんな時、一筋の光が、ずっと向こうに見えた気がした。やっと見えた変化にすがるように、更に疾走する。
そうして、ようやく視界が開けた。
作品名:D.o.A. ep.8~16 作家名:har