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ばーさーかー・ぷりんせす!第3話

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5.

 翌日も、その翌日もマーフォークは現れず、一行は日々の糧を得るのに奔走して
いた。
「はい、つぎのかた~。」
医療所で。ルーシーは村の医者の治療の手伝いをしていた。
「あんれ、この前のお嬢ちゃんでねえか?」
現れたのはいかつい顔の漁師、ミックリーである。マーフォークに付けられた傷の
治療を受けに来ていたのだ。
「こんなにちっちゃいのに、偉いなあ。御主人もおなごさんだけど、魔物が恐くは
ないんだか?」
ルーシーは朗らかに応えた。
「お嬢様はご家族の皆さんが魔物に襲われた時、何も出来なかったことをすご~く
後悔してるんです。ですから、こわい武器と鎧をつけて、こんな思いをする人達が
少しでも減るようにと頑張ってるんです~。私は記憶をなくして、マリアちゃんも
師匠とはぐれて、困ったところをお嬢様に助けていただきました。だからどんなに
大変でも、みんなで一緒なら大丈夫なんです~」
「・・・・・・。」

 診療所を出て、教会へ行ったルーシーをミックリーは見ていた。何時の間にか
シュモークとジンベーもいる。
「ぐす、ええ子たちだなあ」
「なんだお前ら、聞いてたのか? んだな…村民会議をするぞ。」
「なんで?」
「たわけたこと、ぬかすでねぇ! あの子たちを助けるんだ!」


 ラッキーは毎日姫やマリヤにどやされながらもふらふらと占い師のテントに向か
った。メロディは歌もうまく、ラッキーのどんな下世話な話も喜んで聞いた。
「メロディとラッキー、名前も似た感じ。私達お似合いかもしれませんね。」
「でしょでしょー。やっぱメロディちゃんみたいな子がいいなあ。オイラの主人な
んて気が強くってお高くとまって、すぐ暴力ふるうしな。ホントにここに住んじゃ
おーかなー」
「…でも、ラッキーさんっていつもそのご主人のお話ばかりですね」
「ん、そう?」

 その時、艶のある声が隣の部屋から聞こえた。
「なら、あなたもここで働きなさいな」
長い黒髪をくゆらせ、やって来たのは…占い師であり姉であるゴーザある。
「美しいお姉様、またお邪魔してまーす!」
妹と違い胸の大きく開いた華やかなドレス姿。
「一緒に占いの店をやらない? 妹も喜ぶわ。ねえ、メロディ」
「…はい。」
少しだけ顔を伏せてメロディが応じる。
「い・い・いーんですかー!?」
ラッキー、この世の本当の春をむかえたように聞き直した。
「ええ、その代わり…」

 占い師の目が、妖しく金色に光った。



                           <後編へ続く>