D.o.A. ep.1~7
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三日後。
ベッドの上で簡単な筋力トレーニングはしていたものの、基本安静を言い渡されていたライルは、いざ自由になって、だいぶん身体がなまっているのを痛感していた。
「胸の傷跡は残念ながら一生残ると思うが、別に男だし、さして問題ないでしょ」
毎日何度か顔を合わせていたのと、通訳までしてもらっていたせいで、この医者ともずいぶん遠慮のない仲になったと思う。
これから病院に厄介になる時は、気兼ねの要らぬ彼を頼みたいと言ったら、今週いっぱいで退職するらしい。
だが、何かあったらおいで、と住所を教わった。気持ちは貰うが、今回ほどの大怪我でなければ看てあげるよ、と。
「世話になりました」
「わたしゃ、老舗トータス屋の “れもんかすていら”が好きだよ」
「は?」
「だから、気持ち。お金じゃなく、そっちの方が嬉しいから、覚えといて」
「わ、かりました」
最後までどこかテンポのつかめぬ男だった。
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作品名:D.o.A. ep.1~7 作家名:har