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D.o.A. ep.1~7

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澄み切った晴天。暑くもなく、寒くもない、このところずっと続く、実にいい気候である。
心地の良い爽やかな風に吹かれながら、二人は王都を目指す。
城門に掲げられた国旗の模様が確かに見えてくる頃、ふとライルが口を開いた。

「大事な用があるって言っただろ?」
「うん、でも秘密なんでしょ」
少し首を傾げて、リノンは微笑む。

「ここまで来たら解禁。 なんと…ライル=レオグリットは、今日から王国軍に正式に入軍するのであります!」

胸を張る彼に、彼女は、何を言われたのかわからないような、呆然とした表情をしていた。
「どういう、意味?」
「だからぁ、軍人になるんだよ。給料貰えるようになるんだ。ほら、教会の経営が苦しいって、ぼやいてたろ。
俺、欲しいものないし、生活に必要な最低限を差っ引いた額、毎月リノンの教会へ寄付するって決めてんだ。
まあ、最初は大してないだろうけど、そのうち偉くなる予定だし」
「………」
「今までウチの財産食い潰すか、ソードの世話になりっぱなしだったからさ、俺もちょっと大人になったってトコ」
誇らしげに語るたびに、リノンの顔色は優れなくなっていく。
「ソードさんの下で働くってこと…よね」
「そうなるかな?」
彼女の様子の変化に気付くことなく、笑ってライルは頷く。

「…私は、反対だわ」

その存外に厳しい言葉は、ライルの上機嫌に水をぶっ掛けた。
虚を突かれて、彼は数瞬動けなかった。瞬きも忘れて、リノンを見つめる。
やがて、なんともやるせない気持ちが湧き上がる。
きっと喜んでくれると思っていた。笑顔で祝福してくれると期待していたのに。

「なん…で、さ?」
「…き、…教会の経営は確かに苦しいけど、じゅうぶんやっていけてるのよ。あんたは余計な心配しなくてもいいの…!」
一瞬詰まって、目を逸らしながら彼女は強く反論する。
「それに、軍になんか入らなくたって、他にも仕事はあるでしょ?」
「でも、ほとんど、戦うくらいしか能のない俺が、それを最大限活かせる職業なんて他にないだろ」
「…料理!コックとか」
「いや、俺の作ってるのは家庭料理で、金とって人に出せるもんじゃないよ」
「ぐ、軍の仕事なんて、危ないじゃない…」
「それこそ、余計な心配だって。軍に入るったって、今までやってたことに、報告書が加わるくらいだ」
「………そう」
いつの間にか、王都の間近まで来ていた。

「そうね。…あんたが決めた生き方に、私が文句言う権利なんてないわね。でも…寄付はいらない。
稼いだお金は、自分のために使いなさい」

どこか突き放したように言って、リノンは少し駆け足になる。

「…送ってくれてありがとね」
「帰りはどうする?」
「一人で平気」
「え…?」
「じゃあね」

別れを告げると、彼女は城下町の雑踏へ紛れ込んで行った。




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作品名:D.o.A. ep.1~7 作家名:har