桃色伝説(仮)
畑に囲まれている村中で茶色に近い黒色でポニーテールに結んでいる髪を揺らしながらも黒い瞳の少女が刀を振り回しながらも叫んだ。
「二度と来るんじゃあねぇぞ!」
少女は一度溜め息をついた。
「お婆さん、大丈夫ですか?」
少女は手に持っていた刀を鞘に入れながらも後にいるお婆さんを見た。その顔には笑顔があった。
お婆さんもつられて笑顔になる。
「いつも、ありがとうね。助かるよ、零音」
座り込んでいるお婆さんに手を伸ばした少女、零音はお婆さんが手に掴まると立ち上がらせた。
「また、鬼が来たら呼んでくださいね。すぐに来て追い払いますから」
「ありがとうね。でも怪我しないように気をつけてね」
「はい」
零音は再び笑顔を浮かべ、返事をした。
そんなとき、一人の男性が慌てながらも走って来た。
「た、たいへんだ! 人が、あそこで、刃物もって!」
零音は先ほどの笑顔はなく、目の前に立ち慌てている男性を見て驚いていた。
「えっと、ひとまず落ち着いてください」
「あ、あぁ……。その、人が村の入り口で倒れていて、その人が刃物持っていて」
「……村の入り口ですね。わかりました」
零音は男性の横を通り走り始めた。
「あ、お婆さんをお願いしますね!」
それだけを言うとさらに走る速度を速めた。