桃色伝説(仮)
天城 零音
少女は不意に足を止めて、周りの景色を見た。
村の外の景色。
「――どうした?」
少年の声に少女は振り返るといつの間にか少年との距離は離れていたことに気がついた。
「昨日出発したばっかりだけども……ホームシックになりそう。いや、村だからヴィレヂシック?」
「……旅が終わったらすぐに帰れるからいいだろ?」
「まぁ、そうだけども」
少年は踵を返すと歩き始め、少女もつられて歩き始めたが少年の後ろ姿を見ると軽く溜め息を吐いた。
――なんでこんな事になったのかな?
少女は二日前のことを思い出して笑みを見せた。