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桃色伝説(仮)

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半鬼――それは人間と鬼の子供。見た目は鬼、しかし普通の鬼よりも数十倍頭が良いため鬼からはリーダー的存在とされることが多い。






「……半鬼がお出ましとは、この村に何かあるわけ?」
沢山いる鬼達は一人の鬼――半鬼のために道を開け、半鬼はその道を悠々と歩いていた。
「少しお礼参りを、と思っただけだ」
「お礼参りか……。こんな大所帯で。ありがたいことね」
半鬼は鬼達の道が切れると足を止めた。
「じゃあ、お礼の変わりに――」
足を止めた半鬼は地面を強く蹴ると零音の前に居た。
「――復讐させてもらう」
振り下ろされた半鬼に見下ろされ、攻撃を刀で止めている零音は鼻で笑う。
「お前らにやる命は一つもないんだよ」
半鬼の腹に蹴りを入れると零音と半鬼の距離は一旦離れる。しかし零音はすぐに体勢を整えるとすぐに鬼に近づく。数歩のところで跳躍し、刀を振り上げた。
「――舐めるなよ! 小娘!」
 半鬼は痛そうに腹を押さえ、しゃがみ込んでいたが飛び上がった零音の刀を素手で受け止めた。
「……えっ」
 一瞬にして零音は背中から地面に落ちていた。呆然としている零音を押さえつけるかのように半鬼は零音の首を押さえた。
「終わりだ!」
 半鬼は笑みを浮かべながらも拳を振り上げた。しかしその拳が振ってくることはない。
「何が終わりなんだ、半鬼?」
 声の主は半鬼の腕に刀を刺していたがその刀を抜くとすぐに半鬼の肩を蹴り飛ばした。

作品名:桃色伝説(仮) 作家名:古月 零沙