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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編序

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 「版元の人の側ももそれなりにいろいろと難しいこととかあんのよ。別に金持ってりゃ幸せってわけじゃないし。それは私も知ってる。いろいろとこの店に来る人見てっからさ。けれど、やっぱりケータイ小説読んでる子とかからすると特権階級なんだよね、大手の編集とかって。で、ケータイの小説を読んでる子とそういう彼女たちが『お偉い』と思っている編集とかテレビとかの業界人との接点って働いている風俗の店しかない。風俗のお客が撒いてくれる作品、そんなもの、読みたいと思う子、いるかね?」
 「そうね」
 「娯楽ってさ……結局卑賤の仕事だと思うんだよね。そうでないと楽しめない。芸能とか美術って、それに携わる人は、一段低い人でないと成り立たないんだと思う。差別の良し悪しとかの話は今は抜きだよ。歌舞伎でも能でも、携わっていた人たちはいつだって身分の低い人。お金持ちの余技は、嫉妬心を刺激するだけでつまらないから。アニメの人たちの労働条件が過酷だとかみんな言うけど……だったら、アニメーターが一億の収入あったら、みんな、そんな作品見るのかな。多分、こんなにはみんなに見られないと思う……自分たちよりも低い立場にある人間が作ったものしか愛せない。ユーザーとかプレイヤー、読者って偽善なんだよ。っていうか、人間みんなそんなもんか」
 「……」
 「変な話……本当に娯楽を提供しているのは、大手の編集の人たちが『安い』って笑っている女の子たちなんだよ。ケータイ小説読んでる子たちが娯楽を提供する側で、実際風俗とかでそうしている。編集の人やゲームの人たちって、本質的には『娯楽サービスを受ける側』なんだよ。何かが、だから、何かが狂ってるんだ。でも、何が狂ってるのか、私にはよく分からない」
 丸山花世は意識をしないで話をしている。意識をしないで真実を語る。だから、まわりから浮く。もっとも本人はそのことで気落ちすることもない。
 「で、結局大手の版元は『売れてるから』っていうことで胡散臭い業界ゴロからケータイ小説の権利を吹っかけられるってことだよね。『ネットで評判だから』ってそれだけの理由でどうでもいいたいして売れない作品に大枚をはたく。高値掴みだよね。大学出のリーマンは大村の上を行く海千山千には勝てないよ」