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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編序

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 「大丈夫って、あのさー、あんたの何が大丈夫なのよ? ってか携帯の小説ってもうだいぶ前に下火で……」
 「新書書くのにいろいろと資料、パクってるし……『タスケテー』とか『ボコッ!』とか『ヒー』とかそういうのを書き連ねればいいだけじゃん、結局は! 女子高生なんて馬鹿だから、それでいいんだよ。そうだ、知り合いにサイトをやってる奴もいるし……よっしゃ、それで行こう! で、女子高生、食いまくっちゃうぜー!」
 ホストは一人で意気軒昂である。
 「考えみりゃ、オレみたいなイケメンが小汚えオタク相手の商売すること自体がおかしいんだよな! やっぱ時代は女子高生だぜ! 圧倒的な女子高生の支持? で、大手版元で書籍化プラステレビドラマ化! ついでに映画化! 脚本兼監督兼プロデューサー? 億の金? 女優を愛人にしちゃったり? 来た来た来た! 来ましたよー! 時代! まさに時代だ!」
 「どうでもいいけど、あんた、もう少し自分の足元見たほうが良いと思うよ」
 目の前にいる女子高生にすら大いに軽蔑されるような男が、圧倒的な女子高生の支持を得られるとはとても思われないのだが。未来に希望を見出したホスト崩れはしかし、丸山花世の言葉をほとんど聞いていない。今、彼の頭の中にあるのは数十人の女子高生をはべらし、美人女優を愛人に囲う自分の姿。結局、オタクの教祖は非常に女好きであるのだ。と、いうかそれ以外のことはどうも頭にないのか。
 「ああ、善は急げだ! とにかく企画書を作らないと!」
 香田哲は大いに興奮し、かつ希望に燃えて叫んだ。こんなところで油を売っている場合ではない。
 「花世ちゃん、君のおかげでオレの未来に光が差した! もしもよかったら、君には『香田哲に抱いてもらえるサービス券』を進呈しちゃうよ!」
 「いらねーよ。そんなサービス券より、駅前で配ってるサラ金のちり紙のほうがよっぽどましだッ!」
 生意気な小娘は吼えた。だが香田哲は聞いていない。
 「来た来た来た! 時代だよ、時代! 行き詰っていたオタクの教祖香田哲は、今ここに脱皮を果たす! そして女子高生のカリスマ香田哲になるのだ! ああ、いや、香田哲は薄汚いイメージにまみれてるからな! そう、ここは本名大村雅資! 迷える少女達の保護者大村雅資、今、ここに見参!」
 「てめー、馬鹿じゃねーの?」