きらめきの風
美奈子は高校に進学した。
高校の入学書類のなかに、住民票があり、幼いころに出ていった母親の転居先が書いてあったのを美奈子は見逃さなかった。
入学して1か月、進学校なので、既に大学受験に向けた授業だった。
自分は大学に行かせてもらえないし…。
美奈子は自分が殴り書きした母親の名前、住所が書いたメモを見つめる夜が続いた。
ある日、突然従妹の母親が訪ねてきた。
そして、一緒に住みたいと言った。祖母にとっては孫を捨てて出ていった嫁。
しかし、蒸発した自分の息子が一番悪い。
部屋数だけはあるので、祖母は了承した。奇妙な同居生活が始まることになる。
美奈子は商店の手伝いも食事の用意も従妹の世話もしなくてよくなった。
そこで、ふと思った。
…私は必要なくなった?????
もはやこの家で自分のいる価値は、父親と兄のサンドバックでしかない。
美奈子は、衝動的に数着の着替えと財布をかばんに詰め、殴り書きしたメモを握りしめ、電車に乗っていた。
高校の入学書類のなかに、住民票があり、幼いころに出ていった母親の転居先が書いてあったのを美奈子は見逃さなかった。
入学して1か月、進学校なので、既に大学受験に向けた授業だった。
自分は大学に行かせてもらえないし…。
美奈子は自分が殴り書きした母親の名前、住所が書いたメモを見つめる夜が続いた。
ある日、突然従妹の母親が訪ねてきた。
そして、一緒に住みたいと言った。祖母にとっては孫を捨てて出ていった嫁。
しかし、蒸発した自分の息子が一番悪い。
部屋数だけはあるので、祖母は了承した。奇妙な同居生活が始まることになる。
美奈子は商店の手伝いも食事の用意も従妹の世話もしなくてよくなった。
そこで、ふと思った。
…私は必要なくなった?????
もはやこの家で自分のいる価値は、父親と兄のサンドバックでしかない。
美奈子は、衝動的に数着の着替えと財布をかばんに詰め、殴り書きしたメモを握りしめ、電車に乗っていた。