きらめきの風
美奈子が生まれたのは四国・高松のある海辺の町。
4つ違いの兄と、ほとんど帰ってこない父親、商店を経営している父方の祖母、そして両親のいない従妹2人と5人で暮らしていた。
美奈子が通ったのは兄と同じ、中学は地元では有名な私立の進学校だった。
勉強もそこそこできた。
家では祖母の商店の手伝いと、小さい従妹の世話係。夕食も美奈子がすべて作っていた。
中学3年、進学の時期になっても、商店が忙しく、進路相談に祖母は行くことができなかった。
担任と2人で「三者面談」で、美奈子は自分が何をしたいか、よくわからないと担任に告げた。
よくわからないなら進学しなさい、と担任は進路希望表の”進学”に○をつけながら言った。
祖母には、高校を卒業したら商店を一緒にやって欲しい、と言われた。
たまに帰ってくる父親は、返ってくるたびに美奈子と兄に暴力をふるった。
そしてそこそこの大学に進学していた兄は、ストレスから美奈子を殴るようになっていた。
祖母は商店が忙しく、全くそれらのことに気付いていない。
なぜ父は暴力をふるうのか。
なぜ母は自分たちをおいて出て行ったのか。
なぜいとこたちの面倒を自分が見なきゃいけないのか。
自分と、兄は被害者だ…
美奈子はいつも兄の暴力を無言で受け止めていた。
4つ違いの兄と、ほとんど帰ってこない父親、商店を経営している父方の祖母、そして両親のいない従妹2人と5人で暮らしていた。
美奈子が通ったのは兄と同じ、中学は地元では有名な私立の進学校だった。
勉強もそこそこできた。
家では祖母の商店の手伝いと、小さい従妹の世話係。夕食も美奈子がすべて作っていた。
中学3年、進学の時期になっても、商店が忙しく、進路相談に祖母は行くことができなかった。
担任と2人で「三者面談」で、美奈子は自分が何をしたいか、よくわからないと担任に告げた。
よくわからないなら進学しなさい、と担任は進路希望表の”進学”に○をつけながら言った。
祖母には、高校を卒業したら商店を一緒にやって欲しい、と言われた。
たまに帰ってくる父親は、返ってくるたびに美奈子と兄に暴力をふるった。
そしてそこそこの大学に進学していた兄は、ストレスから美奈子を殴るようになっていた。
祖母は商店が忙しく、全くそれらのことに気付いていない。
なぜ父は暴力をふるうのか。
なぜ母は自分たちをおいて出て行ったのか。
なぜいとこたちの面倒を自分が見なきゃいけないのか。
自分と、兄は被害者だ…
美奈子はいつも兄の暴力を無言で受け止めていた。