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きらめきの風

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詩織は姉と同じ高校への進学を望んでいた。
学習塾にも通った。
それでも、詩織はあと少しのところで姉の高校を受験することができなかった。
担任は、「滑り止めで受かっている私立に行く覚悟で受けるなら、挑戦してみろ」
家庭が裕福なわけではなく、私立に行く選択肢はなかった。
詩織は母親に、由美が受ける高校に行きたいと申し出た。母親は、
「なんでわざわざそんなレベルの低い高校に行くの?お金かけて塾行かせて成績上がったんだから、友達と同じ高校に行きたいなんて、それはだめ」
と、許さなかった。結局姉の高校のレベルから1ランク落として別の高校を受験した。
卒業の時由美は「最初は成績同じくらいだったから、シオちゃんと同じ高校いけると思ってた。シオちゃん頑張って成績上がったもんね。シオちゃんと離れるのは悲しい」と泣いた。
詩織は特別なにも思わなかった。やはりどこか冷めているのだろうか。でも、とにかく詩織は早く中学を卒業したかった。
詩織は、離れても友達という事実は変わりはないと、どこかで思っていたから。

なぜ、姉と同じ高校に行きたかったのか?
姉のせいで部活内でいじめられ、姉と同じ高校を目指したことで由美と違う高校に通うことになった。
そもそも中学校に上がるときも、二つの中学校を選べる自由学区だった。
転勤族で、小学校は4回転校した。小学校を卒業するとき一番仲の良かった裕子と同じ中学校に行きたかったのに、”姉が通ってるから”という理由で、母親は選択できることを隠していた。
いつしか詩織は「友達」になってもいつか別れが来る。それならあまり執着しない方が別れがつらくない、楽だ、と、そう思うよう

になっていった。そして、自分に友達ができなかったのを「自分のせいではない何か」のせいにしたくなった。
本当はやはり詩織自身に問題があったのだろうが、その頃の詩織はそう思ってしまった。

詩織は高校に入学したあたりから、自分の家族、主に姉に嫌悪感をいだくようになる。
コンプレックスに起因した嫌悪感。
早く、独り立ちしたい。1人で自由に生きていきたい…

そんな思いから、詩織は美奈子にあこがれていった。






作品名:きらめきの風 作家名:橘 杏李