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きらめきの風

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春。姉が大学に合格し、詩織も高校2年生になった。
詩織の父親の転勤が決まり、一応”単身赴任”という形になった。
一応、としたのは、詩織の父親は仕事人間で家事は何もできないため、母親がほとんど岐阜へ行ったきりになることは目に見えていたから。
詩織の姉も、自宅から30分ほど離れたマンションを借りて一人暮らしすることになった。

さて。詩織はこれからほぼ一人暮らし状態。
「たまに帰ってくるからね。」
詩織の母親は父親の生活道具一式を持って、父親とともに岐阜へ向かった。

「悪いことすんじゃないよ。私はしょっちゅう顔出すからね。」
詩織の姉は案外妹のことをよくわかっていた。
実際、以前美奈子のタバコを間違えて持ち帰ってしまったとき、バッグに入っている煙草を見つけて泣きながら詩織にこう言った。
「詩織、あんた、何するにも自分の人生だろうから勝手だけど、親を泣かすような真似だけはしないで。私にも迷惑かけないで。」

詩織は、実は姉のことが大嫌いだった。学校では友人も多く、美人で、成績優秀な優等生。家では勉強以外は何もせず、親の手伝いなどのほとんどは詩織にやらせていた。
「あんたは頭も悪いし取り柄がないんだから、家事くらい覚えなよ」
それが詩織の姉の言い分だった。

作品名:きらめきの風 作家名:橘 杏李