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ばーさーかー・ぷりんせす! 第2話

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6.

「まさか…」
「どうもそのようですな。」
執事のギャリソンが門を開け現れた。
「じい、どこへ行ってらしたの?」
フロリーナが問う。
「少し町で調べ物を。こやつ、人の良い振りをして孤児を集め、それをあのゴブリ
ン共に差し出していたようです。失礼して魔道士の塔にも入りました。」
ギャリソンが証文を持ってきた。魔法の文字にゴブリンらしき手形も見える。
「それじゃあ〜、いつも犠牲者が減らなかったのはぁ…」
「この男が守り切れなかった、じゃなくって、逆に差し出してた。ガビーン!」
ルーシーとマリアは顔を見合わせる。
「どうやら悪辣な魔道士たちが、程度の低い魔族を使って延命と搾取をしていたよ
うですな」
そこまで聞いてラッキーが青ざめる。
「そ、それじゃあ、こいつぁ実はトンでもない悪党、ってことか?」
皆、深刻な顔で頷く。気丈にしている姫も、実は一番傷ついていることだろう。
「ひでぇ!」
ラッキーは泣きながら叫んだ。
「オイラが姫の裸を見せねえようにがんばったのに、その必要がなかったなんて〜
~~ッ!」

・・・
はろほろひれはれである。

「くくく、ばれてしまっては仕方がない。いいかいお嬢さん、世の中持ちつ持たれ
つなんだ。ゴブリンにも分け前さえ与えれば結構言うことを聞くもんなんだよ。そ
れに僕みたいに才能がある者がいい思いをする、当然じゃあないか?」
ギリギリと歯を食いしばるフロリーナ。
「わたくしが愚かでした。こんな、こんな最低の男をお慕いしていた殿方と重ねて
いたなんて!」
「何とでも言え。ここで君達は死ぬんだ」
青の魔道士の周りを風が吹く。魔法をかけるセフィロス。強風を起こし、木々を竜
のように動かす。そこへ割って入ったのは…
「じゃじゃーん、ここはマリアちゃんの出番でーす!」
なんと魔法使いの見習い、マリアだ。
「皆、吹き飛べ、切り裂け、蔓に巻かれのたうつがいい!」
セフィロスの風魔法が襲い掛かる。マリアが叫ぶ。
「召喚!」
ぽんっと、呼応するように黒猫のナベシマが現れた。
「ん、にゃあ」
すると。
風はマリアたちの直前でそよ風に変わった。太い幹で出来た竜も、ひょろひょろの
小枝細工に変わってしまった。
黒猫はにゃあ、と鳴いて木の枝にじゃれついた。
魔道士の起こした暴風やかまいたちも、マリアのスカートを揺らすだけである。

「いやーん、えっちぃ」
どうでもいいようなカボチャぱんつがチラっと見えて風は収まった。
「んな!?」
「あれはカミカゼノジュツといって、東方の絵師フジヒーコ=ホソノが…」
どこかを向きながらラッキーが怪しげなウンチクをたれる。
ぐしゃ、とラッキーの顔がジューシイな音を立てた。フロリーナは手の甲に着いた
血を払って、青の魔道士に詰め寄った。
「な、なぜだぁ〜!」


 マリアの十八番、アンチマジック…強制キャンセル技である。彼女の魔力は小さ
なものだが、何故か相手の魔力も同等に下げてしまうのだ。ガチンコのK‐1ルー
ルはお遊戯へと変わった。


「ひいいいい〜〜っ」
身も蓋も無く逃げだすセフィロス。が、何者かが足をつかみ、盛大に転倒した。
「お前だけ逃げるなんて、ずるいゴブ〜〜ぅ」
生き残ったゴブリンである。交渉の相手だった魔道士の顔は覚えていたらしい。
「お覚悟なさい。わたくし、残酷でしてよ!」
姫は優雅にほほ笑み、そして、
「ほ、ほほ、ほほほほほ!」
バーサーカーモード…美しき狂戦姫へと変わった。