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DIVISION GRAFFITI -境界の落書-

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 『――――除霊師を継ぎたくない? ソメナ何を突然』
 たしかあの時は、ふんわりと温かい春だった。
 『別に突然なんかじゃないわよ。前から思ってた事だもの』
 たしかあの時も、青年は相談者の隣に座って、話を聞いてやっていたっけ。
 『お父さんもう長くないんだって。ほら私一人っ子でしょ? 他に譲るあてが無いのよ。お父さん友達いないから』
 『失礼な奴』
 『あら、そんなのお互いさまよ』ソメナは控えめに笑うと、またもとの暗い表情に戻って、ため息をついた。
 青年もため息をつく。

 『おぬし新婚であろう? そんなのわしでなく旦那さんに聞けばよかろう? なんかわしも・・・・・・いたたまれんよ』
 『あの人はあの人よ、相談するにはあんたの方がいいの。・・・・・・親友でしょ?』
 青年はそれをいぶかしんで聞いていた。

 居づらい事には変わりないのだが・・・・・・。

 何となくそう思いながら遠くを眺めていると、ソメナが不意にきりだした。
 『ねぇ、こういう除霊? そういうことって私たちが関わっていいことなの? 私たちみたいな普通の人間がさ』
 『だーかーら、そういう事は旦那さんに聞けと・・・・・・』
 『あんただから聞いてるのよ』
 ソメナは青年の目をしっかりと捉えて言い返した。そこからは強い意志が読み取れた。

 青年は目をそらす。『――――わからんよ。わしにも』

 花びらをはらんだ風が、横を通り過ぎた。時間がゆっくりゆっくりと流れていく。
 ソメナのウェーブがかった金髪が風に沿ってゆれた。――――その記憶が、隣にいるメイとかぶる。本当によく似ていた。


 あの女性が今、この墓標の下にいる。青年ははにかみながらため息をついた。
 「まったく、そういう跳ねっ返りなところとか、あやつにそっくりだ。なぁフラ」
 「フラ?」
 青年は目を見張った。