サイコシリアル [2]
「だから、私と一緒にこれからも『殺し』をしていきましょう」
どんな誘い方だよ。
ヤミデレ発動か?
「ははは、俺も殺し屋の仲間入りかよ」
戯贈曰く━━
中立の殺し屋というのは基本的には人間を殺さないらしい。
今回の件だってそうだ。
斬島の殺人を止める━━否、殺す。
殺人という行為を殺すのだ。
だから言い換えれば、これだって殺し屋だ。
中立的な立場で物事を考えて、事柄を殺す。変な話、正義の味方みたいだけれ
ども、根本的な所は全く違うのだ。
中立の定義というのも、とても曖昧な所はあるけれども、結局は自己中心的に
物事を考えて判断しているのだろう。
このような世界であってほしい━━という願いというか、その在り方を探して
いるというか。
難しいことはよく分からないのだけど。
考えても見てほしい、殺し屋の組織『人心隔離』『過剰心理』のどちらともが
、本当に殺人を犯しているというよりも、大量殺人犯の集まりみたいなものだ。
殺人を生業としているのだから。しかし『永世中立』、所謂、戯贈の組織だけが、あまりにも異質だ。いい意味での異質。
中立的に物事を考えて、殺す。人ではなく、行為を。
僕は、殺し屋に興味がある訳でもない。人殺しをしたい訳でもない。
ただ、純粋に戯贈妄言に興味を持ってしまっている。彼女の性格に言動に性質に、どうしようもなく惹かれてしまっている。
だから、戯贈と一緒に殺し屋━━物事の殺し屋、になることにしようと思った
のだ。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし