サイコシリアル [2]
「・・・・・・興が逸れたヨ。やっぱり野郎は殺す気にならない。というよりも、恐怖に歪んでいない人間を殺すほどつまらないことはない。かと言ってお嬢ちゃんも殺す気にならない。何故だか分からないけどネ」
・・・・・・は?
「なんというかあれだネ。少し昔のことを思い出してしまったヨ。妹のことをネ」
どういうことだ?
「もう勝手にしてくれヨ。俺は俺で違う殺しを楽しむから、坊やは坊やで楽しくやりな。・・・・・・まぁ、気が向いたらまた殺しにくるよ。久々に僕から逃げなかった、威勢のいい坊やだからネ。殺すというか食べちゃいたいヨ。それじゃまたネ」
そう言って斬島は去って行った。
理解力が追いつかない。
要するに助かったってことか?
訳が分からない。何故、斬島は去って行ったんだろう。
妹が背中に凄い勢いで抱きついて泣き始めたが、僕は考えるだけで精一杯だった。
結局は、気に入られたってことか? 殺人魔に建て着いた一般人ということで。それとも、斬島が気分屋だからってことか・・・・・・?
帰ったら戯贈に聞いてみよう。
「・・・・・・あ」
僕の座り込んだ位置から約三十センチ横。
そこには、真黒で無機質なイヤホンが転がってきた。
また新たな死亡フラグが立った瞬間だった。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし