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サイコシリアル [2]

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「人間はね、美しい人間の臓物を食べると美しくなるのよ。より美しく、より華やかに変わることが出来る」
馬鹿だと思った。狂っているとも思った。迷信か何か知らないが、そんなことを信じている奴がいることを信じることが出来ない。
「そんな訳ねーだろ。それは迷信でしかない。いや、思い込みだ」
「迷信ではないわ、伝承よ」
「伝承も言い換えれば、限りなく迷信に近い」
「涙雫君だって、迷信や伝承を信じているでしょ? 何を信じるか、信じないかは自己の判断だと思わない?」
ダメだ。
狂っている人間に正論を述べても、結局は正論ではなくなる。悪い意味で自分の考えを変えようとはしない。
この場合、これが一番厄介なところだ。
前回の斬島の方がまだマシだ。やりやすい、と言ってもいい。まだ僕の話に激情もしてくれた。
それに斬島は、気分屋だった。信念がある訳でもなく、ただの気分屋。
その時の気分で、殺す相手を決めて殺す。
けれど、霞ヶ窪は違う。
常人には考えられないことを信念に、または信じ込み、思い込み、行動に移している。
斬島がサイコパス?
馬鹿言うなよ。
サイコパスの派生、カニバリズム?
何を言っている。
目の前の、今まさに、眼前に佇む美女こそが本物だ。
本物のサイコパス。
特性がカニバリズム。
またの名をサイコキラー。
根本的に違う人間。いや、人間の領域を越えている。踏み入れてはいけない、ラインを越えている。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし