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サイコシリアル [2]

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「そもそも、先代の思想によると、『中立』という考え方は、必要悪と同意義みたいです。自分たちで、この世に必要な存在か必要じゃない存在かを考えて殺す。考えてみればそうですよね。悪を殺す悪。まさに『中立』という思想は『必要悪』ですね」
 「必要悪・・・・・・か」
 そう言えば戯贈言っていた。物事を中立の立場で考えてから殺す、と。
 世の中に不必要なものを殺す、いや、なくすと同意義だ。必要な悪。
限りなく悪に近い善。
『中立』という立ち位置は、とても不安定だけど重要なのだろう。
 「必要悪の殺し屋と言えば、確かに聞こえはある程度は良くなるかもしれませんが、結局は悪に違いなんですけどね」
 そうだ。限りなく悪に近い善などではない。
ただの、悪。
言ってしまえば、斬島と大して変わらないんだ。
今から僕は、殺人犯を突き止めて殺しを行わなければならない。
悪を殺す、悪。
必要な悪。
正義と悪は、相反するものだけれど、実際は近しい存在なのかもしれない。
アニメやドラマの正義の味方は、正義と比喩しているから悪くは見えないが、言ってしまえば、端的に言ってしまえば必要悪だ。
見方の問題。
考え方の違い。
「どうしたんですか、涙雫先輩。寡黙キャラに転向ですか?」
九紫が僕の顔を除き込んできた。よっぽど険しい顔をしていたのだろう。
確かに、いつもの僕なら美少女の上目使いに興奮を覚えているところだが、今はそんな気分にはなれない。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし