サイコシリアル [2]
「そういえば涙雫先輩。私初めて戯贈先輩に呼び出されましたよ。それはもう、ビクビクでしたよ。え? はい。だからビクビクでしたよ、色んな意味で」
「ごめん、九紫の話題の展開はいつも急すぎてついていけない。それに朝から美少女が下ネタを言うんじゃねぇ」
「だから、今日の朝に戯贈先輩に呼び出されたんですよ」
「あぁ、だから戯贈は朝早くに家を出たのか」
「朝早くに家を出た、という表現は、あたかも一つ屋根の下で暮らしているように聞こえますよ?」
「あれ? 言ってなかったっけ? 僕は今、戯贈と同棲しているんだよ。正確に言えば、戯贈が涙雫家で住み込み生活を送っているって言う訳」
「なんと破廉恥な! 知っていましたけど」
「知っていたなら下ネタの方に持っていこうとするな!」
僕に怒鳴られた、もとい、またもや突っ込まれた九紫といえば、てへっと言いながら、舌をちょこっと口から出していた。
可愛いと思ってやっているのか本当に疑問である。そのままケーキ屋のマスコット人形になってしまえばいいのに。
ていうか、なれ。
性格を覗けば、申し分のない美少女だから客寄せくらいにはなると思うし。
「そしたら、私の出身地も彼女同じように『地球上のどこかにある夢の国』というように改正しましょう。勿論、年齢は昭和二十五年生まれにして、永遠の六歳ですね。私は、かつての彼女のようにスカートめくりされるなんていう、油断はしませんけど」
「ていうか、詳しすぎじゃねぇか? 全部初耳だぞ」
「根っからの不二家ッ子なんです」
殺し屋と不二家、なんともシュールな光景だろう。
全く持って似合わない。
「殺し屋と言えど、お菓子は好きなんだな。意外だわ」
「で、何故戯贈先輩から呼び出されたかと言いますと」
「だから話題が急展開過ぎるんだよ!」
話を戻すのは、ありがたいけど、あまりにも唐突すぎる。
慣れてきたからいいけど。
次からは絶対に突っ込みを入れにないで、話をつづけてみせようじゃないか。
「それじゃ私は帰ります」
「それは急転回だろ!」
それだったら、まだ急展開の方がマシだ。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし