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サイコシリアル [2]

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「涙雫君、結局進路はどうしたの?」
学校の昼休み、戯贈がふいに聞いてきた。
戯贈は、斬島事件の後、普通に学校に登校するようになったのだ。
三日連続で戯贈が登校した際には、さすがに学年中が騒ぎとなった。『朧気の姫』が登校したぞ、とか、『霞ゆく女王』がいるぞ、とかなんとか。
戯贈は、普段から出席率が著しく低かったのだ。
それが、三日連続で登校、ましてや『不確定人種』と 呼ばれる僕と登校してきたのなら尚更だ。
というか、朧気高校の生徒たちは、あだ名を付けるのが好きらしい。余談だけど、僕の『不確定人種』というのは、普段から何してるか何考えてるのが特定出来ない、という全くもって曖昧な理由から付けられたあだ名だ。誠に遺憾である。
まぁ、気にはしていないけれど。
とにかく、三日連続で僕と登校という、世にも珍しい事態が発生した朧気高校ではちょっとした騒ぎになったのだ。
で、昼休み。
僕は、学校の緑が生い茂る中庭で、戯贈と昼食タイムというわけだ。
「担任に、『殺し屋』って書いたら怒られた」
と、僕は率直に答えた。
「あなたの脳味噌は腐っているの? 当たり前じゃない、そんなの。さすがの私でも殺し屋なんて書いていないわよ」
「それじゃ何て書いたんだ?」
「進路なんてもの私には分かりません。大体にして、残りの何十年という人生をあなた方、所謂、学校側に提示しなくてはならないのでしょうか? 私が何をしようが、あなた方の人生には差ほど影響はないでしょう? 私には答える意味もないし、答える義務もあります。あるのは、答える権利だけです。使わない権利なんて、無いものと同じでしょうけど」
「うざっ! そして長っ!」
「私は既に殺し屋なのだから、進路なんて分からないのよ。この先どうなるかなんて」
「まー、確かになー。ていうか、僕が殺し屋って書いたのは、戯贈の為でもあるんだぞ?」
「どうして?」
「だって、前に『一緒に』って言っただろ? だから、僕の進む路線は戯贈と一緒ってことじゃん? なんて言っていいか分かんないけど、そういうこと」
「・・・・・・。馬鹿も休み休み言いなさいよ。殺し屋の世界をなめて貰ったら困るわ」
一瞬照れた。
戯贈が一瞬照れやがった。
いつもは基本的に無表情で淡々と物事を話すけど、今回は違った。
若干俯き、若干頬を赤くし、これまた若干喋り方が違った。
なんというか、喜び所が分かんないやつだな。
それはそれで魅力的ではあるんだけど。
作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし