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サイコシリアル [2]

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斬島事件から数週間後。
いきなりではあるが、僕は、ある一人の人間と出会い、対峙していた。
否、詳しく言えば出会っていたが出会ってはいなかった。この表現は矛盾しているが、根本的部分はこの表現が合っているのだ。
出会ってはいた、しかし、出会っていなかった━━そして行き合った、行き着いた。
斬島猟木を『悪』と例えるなら、今、目の前にいるやつは『狂』だ。
斬島も充分狂ってはいたが、それは、善悪の区別が出来ない━━という、ある一種の病気。精神的な疾患。
ただ目の前にいる奴は、そんな病気などではない。ただ欲望のままに動いている。羨望とでも言うのだろうか。
だから、斬島や戯贈、そして僕のように殺し屋の組織に属していない。
属する必要もなければ、意味もない。
ただただ、自分の欲望のままに生きるだけ。
完璧なる個人。
個人に過ぎない。
ただ外見はそうは見えない。斬島のように外見からして狂っている訳ではない。
内側が、内面が狂っている。考え方も何もかも。
僕は、最悪の場合、人を殺すことになるかもしれない。
一人の行動力が欠落した少女の為に。
何故、僕が今、このような現状に立たされているのか。
それは、今から語るとしよう。
これはそんな物語。
物語という程でもない。
下手すりゃ僕の黙示録だ。

作品名:サイコシリアル [2] 作家名:たし