ひとつの桜の花ひとつ
「あれ、ここに来る前って、少し本社にいたから社長知ってるんでしょ。柏倉君も・・・見たでしょ。声でかい人ね」
「はぃ」
返事は、はい だけにしておいた。
「今日、朝本社に呼ばれて、柏倉君のこと聞かれたから、優秀できちんとやってますよって言っておいたから・・社長きたらきちんと挨拶してね」
「はい、ありがとうございます。で、なにかやることありますか」
これ以上叔父の話だと、なんか笑いそうになりそうだったから話を変えていた。
「特にないから普通でいいよー えっと、この人が社長ね」
指されたのは壁に飾ってあった額に入った叔父の笑った顔の写真だった。
それにもつられて笑いそうだったけど、指差してこっちを見てる真剣な店長の顔がおかしくって吹き出しそうで困っていた。
作品名:ひとつの桜の花ひとつ 作家名:森脇劉生