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ひとつの桜の花ひとつ

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「やっぱり 柏倉君の名前覚えてるんだ・・いい子なんだけどなぁ 彼女いるんじゃしょうがないか・・かわいそうに」
「だから、そんな事ないですって、見てるとなんかホールでも偉そうだから、仕事できて名前なんかすぐ覚えるんですって、きっと・・」
「たしかに、ホール仕切ってるのって彼女みたいだね・・柏倉君が大学生だって彼女知ってるの・・」
「いえ、言ってないから知らないと思いますけど」
「そっか、背広でネクタイだからね・・大学生のアルバイトとは思わないかぁ・・」
「あのう 食べちゃいますよ・・」
先に食べてくれないから、きっかけを失っていた。
「ごめんごめん、さ、食べようか・・あっ 食べますか、次期社長候補さん」
「それ、もう やめてくださいね」
にらんだら、綺麗な石島さんに肩をすくめて笑われていた。
陽射しが入る窓際で 2つ年上の女の人にからかわれていた。


作品名:ひとつの桜の花ひとつ 作家名:森脇劉生