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陰陽戦記TAKERU 後編

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『フン、貴様等には呆れて物も言えん…… あの娘の記憶を取り戻したくば我を倒してみろ!』
 饕餮が目を見開くと奴に変化が訪れた。
 全身からどす黒い陰の気が吹き出ると両肩と腹に顔が現れた。
 その顔とは今まで俺達が倒した魔獣達の顔だった。
 全長ざっと8メートルは超えてるだろう、頭は饕餮だが右肩から下と胴体は檮杌、左肩から下と背中には窮奇の翼、四本足の下半身が渾沌と言う姿になった。
『一気に勝負を決めてやる! この我が捻り潰してくれるわ』
 饕餮は右手を翳すと右肩の檮杌の目が紫色の輝き紫色の磁力波が放たれた。
 俺達は後ろに飛んで交わすが今まで俺達が居た場所は粉々に砕け散った。
「合体したのか?」
「何てでかさだ……」
 俺は顔を顰める、
「お、大きければ良いって訳じゃ無いじゃ無いモン!」
「そうですよ! こんな奴、ただの見掛け倒しだ!」
 香穂ちゃんと拓朗が竜巻と冷気を放つが2人の攻撃は奴の体をすり抜けた。
『馬鹿め、我にそんな物など通用するか』
 饕餮が口を開くと紅蓮の炎が噴出して俺達を攻撃した。
「くそっ」
 俺は鬼斬り丸で炎を切り裂いた。
 だけど俺達にはそれ以上の手段のとりようが無かった。
 奴が他の魔獣の特性を持ってる事は分かって、そして弱点もまるで同じだって事は分かる、
 だけど攻撃が届かなければ意味が無かった。
「野郎の攻撃一発一発は弾き返せる、だけどその瞬間を狙っていかなきゃいけないからな……」
 奴に攻撃を当てるには攻撃の一瞬を狙うしかない、
 だけどこいつは渾沌とはかってが違う、せめてあの攻撃を1つでも無くせれば……
 となると美和さんが戦えず、桐生さんがいないのが厄介だった。
 せめてどちらか1人でもいてくれれば……
「無い物をねだってもしかたねぇか…… ん?」
 すると俺の目にある物が映った。それは……
「これっきゃねぇか!」
 俺は香穂ちゃんに尋ねた。
「香穂ちゃん、ちょっとの間奴を引っ掻き回してくれるか?」
「えっ?」
「考えがあるんだ。香穂ちゃんしかできないんだよ。」
「う、うん…… 分かった」
「そして拓朗、お前はその隙に……」
 俺が耳元で説明する、
『何をゴチャゴチャ言っている? 貴様達は我には勝てぬわ!』
 饕餮が両手を翳すと竜巻と磁力波が放たれた。
「行くぞ!」
 俺の掛け声でそれぞれ別れる、
 俺は建物の隅に身を隠した。