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陰陽戦記TAKERU 後編

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 作戦はこうだった。
「……時間も無いし、それしかないみたいだな、」
 俺は学を連れて饕餮の元へ向かった。
 
 饕餮のいる場所はとある廃工場だった。
 長年使われていなかったのか機材が錆び付き蜘蛛の巣が張っている、
「饕餮っ! どこだ?」
 俺は叫ぶ、
『意外と早かったな』
 すると俺達の目の前に黒い炎のような物が浮かんだ。
 そしてそれは形を変えて饕餮となった。
「饕餮、美和さんはどうした?」
『いきなりだな』
「当たり前だ!」
 俺は鬼斬り丸を構え抜刀しようとする。
『動くなっ!』
「くっ……」
 俺は止まった。
『心配はしなくとも娘は無事だ…… 今見せてやる』
 すると饕餮の横に黒い卵型の球体が現れた。
 やがてそれは半透明になると中には美和さんがグッタリとしていた。
「美和さんっ!」
『分かっただろう? 娘は死んではおらん、約束だからな』
 何が約束だ。
 人質なんて汚ぇ手を使う奴が素直に約束を守るなんて思えない、どうせ何か罠があるに決まってる。
『なんなら確めるか?』
「何?」
 すると突然美和さんを覆っている黒い膜が割れると美和さんが解放された。
「危ねっ!」
 俺は美和さんを抱きかかえる、
 美和さんは呼吸してるし温かい、確かに生きていた。
『さぁ、今度は我の番だ。その男をよこせ!』
 俺は学を見ると学は頷いた。
 そしてゆっくり歩き出すと饕餮の方に向かった。
『よし、ならばそこを動くな!』
 饕餮が口を大きく開けるとその時、俺は叫んだ。
「麒麟っ、今だ!」
『分かった!』
 学のポケットの中が光り輝くと麒麟の宝玉が飛び出して饕餮の口の中に入った。
『アガッ?』
『これでも食らえっ!』
 麒麟は饕餮の中で力を放出する、
 途端電撃のような物が放たれて饕餮は顔を歪めた。
『グガアァアアァ―――ッ!』
 饕餮は地面に倒れると口の中から麒麟が飛び出した。
「麒麟、学、行くぞ!」
 俺は美和さんを抱きかかえると表に出て麒麟後から追ってきた麒麟の宝玉を手に取ると背中にビームウィングが生えた。
「学、つかまれ!」
 学が俺の背中にしがみ付いた。
 本当は女の子、特に美和さんに後ろから抱き疲れたいんだが、生憎と美和さんは今俺がお姫様抱っこをしている、だが今はそんな贅沢を思ってる場合じゃない!
「飛ばすぜ!」
 俺は全力で空を飛んでその場を離れた。