小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

陰陽戦記TAKERU 後編

INDEX|64ページ/115ページ|

次のページ前のページ
 

第八話 目覚める龍


 檮杌を倒した翌日だった。
 俺達はある人物を迎えに駅の前に向かった。
すると俺達よりも前にその人は待っていた。
 スポーツバックを片手に携帯を持っている所を俺はその人の名を叫んだ。
「桐生さん!」
 俺が手を上げると桐生さんは俺達に向かって手を振り上げた。
「やぁ! 久しぶりだね、みんな!」
「桐生さんこそ!」
 俺が手を桐生さんの前に持って来ると桐生さんは俺の手をガッシリとつかんだ。
『辰弥様っ!』
 すると美和さんの上着のポケットから青龍の宝玉が飛び出すと桐生さんの左手に納まった。
「青龍も良い子にしていたかい?」
『こ、子供扱いしないでください、まぁ私は貴方の事なんか心配してませんでしたけどね』
 青龍のツンデレぶりに桐生さんは鼻で笑った。
「さてと、これからどうします? やっぱり作戦会議でもしますか?」
 これから色々話さなければならない事がある、四凶の事、俺達の事もだ。
「その事なんだけど、少し待っててくれないか? 叔父の家に荷物を置いてくるよ。車も置いてきたいしさ」
 そう言うと俺達は一旦別れた。

 約一時間後、俺の家に桐生さんがやってきた。
「お待たせ、じゃあ始めようか」
 俺達は大広間で茶と菓子を用意してテーブルを囲んで作戦会議を行った。
 こうして全員揃うのも4ヶ月振りだった。
「最初はいきなり四凶が現れた事だった」
 2ヶ月ほど前、俺が始めて奴等を知ったのは桐生さんからの電話だった。
 テレビをつけると町が奇怪なオブジェみたいになっていた。
「それは俺達と最初に戦った四凶の1人、渾沌って奴の仕業でした」
 そいつの事は今でも覚えてる、
 奴に俺達の攻撃が効かなかったって事を……
「攻撃が?」
「ええ…… まぁ、一回は俺の鬼斬り丸に玄武の力を乗せて攻撃したんですけど弾かれたんです、香穂ちゃんの攻撃も通じなかったから少なくとも白虎の力も通じないって分かって…… そして青龍と朱雀の力を使ったら奴に効いたんですよ」
「でも奴が姿を現したら青龍の力も朱雀の力も通じなかったんです」
「……不思議な奴だな」
 桐生さんは顎に指を当てる、
 確かにあの野郎が残った四凶の中で一番厄介だ。出来れば二度と会いたくは無い、
「残るは饕餮だけど……」
 渾沌が厄介ならこいつは一番たちが悪い、奴は人の弱い部分を知って攻撃して来る、
 確かに相手の弱点を突いて来る事は当たり前の事だがこいつは卑怯を通り越して反吐がでる、
「奴は恐怖心を増幅させる能力を持ってるんです、最初は俺も苦労しました」
「でもそのおかげで他の聖獣とも合体できる事を知ったんですよね」
 拓朗が言ってくる、
 他の2体、窮奇と檮杌は白虎と玄武の力を引き出した香穂ちゃんと拓朗が倒した。
「私も知りませんでした。麒麟だけじゃなくて玄武や白虎まで……」
『ちょっと美和、私も忘れてない?』
 すると美和さんの前で具現化していた朱雀が翼を広げて自分をアピールする、
「でも試しても俺達以外は鎧化できないんスよ」
 あれから試しても麒麟と白虎と玄武以外、すなわち朱雀だけは鎧化が出来ずにいた。
「……美和さんだけ特別なのかな?」
 加奈葉が首を傾げる、
 特別と言っても美和さんの違う所といえばこの時代の人間だって事だけど…… それは関係無いだろ、
「もしかしたら朱雀自体が普通の聖獣と違うからか?」
「火の力は確かに特別ですからね……」
 朱雀の『火』の力は自然界でも簡単に発生出来る物では無い、
 それはこいつを復活させた時に教えてもらった。
「あの場所に火の気があったとは思えないんですけど……」
 美和さんが鎧化(左手と背中だけ)した時はビルの屋上だった。
 あのビルの下が火山帯だったのか?
「場所って事は関係ないと思うけど?」
 桐生さんには俺も同感だ。
 俺達はあれから気軽に変身できる、きっと別に理由があるはずだ。
「香穂ちゃん、拓朗君、君達は変身したい時に何て思った?」
「「えっ?」」
 拓朗と香穂ちゃんは顔を見合わせる、
「えっと~…… 僕は…… 『憧れ』ですかね?」
 拓朗は実は特撮が大好きで変身できる俺がうらやましかったと言う、
 香穂ちゃんが変身できる事を知ってもしかしたら自分も変身できるんじゃないかと思っていたらしい、
「思ってたらできた…… と? じゃあ香穂ちゃんは……」
 俺は隣りを見ると香穂ちゃんは頬を赤らめてニヤつきながら頬を両手で抑えて体をクネらせていた。
「もう、分かってるクセに、お兄ちゃんのえっちぃ~」
「なっ?」
 皆一斉に俺を見る、
「なっ? 何だよ? 俺何かしたか?」
「ちょっと武っ! アンタ何やらかしたの? 場合によっちゃただじゃ置かないわよ!」
「何もしてない、本当に誓って何も……」
「武君、自首したまえ…… 未成年なら罪も軽い、」
「桐生さんもっスか?」
 どんだけ信用無いんだ俺は?