陰陽戦記TAKERU 後編
しかし家に帰っても何も進展は無かった。
麒麟や白虎達に聞いても気配がまるで感じられないとの事だった。
さらに翌日、休日と言う事もあり拓朗と香穂ちゃんを呼んでここ最近の新聞を広げて情報を集めて作戦会議を開いた。
「やっぱり人の手じゃ無理ですよね?」
と、拓朗。
「かと言って鬼でもないし……」
香穂ちゃんも首を傾げる。
「分かってる事と言えば東に進んでる事だけなんだよなぁ……」
俺は頭を掻き毟る。
「私も別に妙な気配は感じませんでした」
美和さんでも感じられないとするとやっぱり別の物か、それとも単に場所が遠いからか?
「なぁ、白虎。お前……」
オレが振り向くが白虎はテレビを見ていた。
「おい、何見てやがんだ?」
『何ってテレビだよ、そんな事も分からないのかい?』
「そんな事は分かってる、お前今日集まったのが何の為か知ってるだろ!」
「そうだよ。白虎も協力してよ!」
香穂ちゃんが頼むが白虎はため息を零した。
『そう言われてもねぇ香穂、それらしい気配がまるで感じないんだよ。君達で言う胸騒ぎに近い物はあるけど…… 暗黒天帝とは別物だ。』
「まさか別の敵って事はないだろうな?」
悪の組織を倒したらまた別の敵が現れるなんて、漫画じゃ無いんだぜ?
「ん?」
オレはテレビを見る、ブラウン管には学と加奈葉が遊びに行ってる遊園地が映ってた。
開業10周年記念でニュースで取り上げられてるらしい。そう言えばオレも両親が生きてる頃はよく遊びに行ったっけなぁ……
『香穂香穂、今度ここに行ってみようよ。ジェットコースターって奴に乗ってみたい』
「んもう、そんな事言ってる場合じゃ無いでしょう!」
香穂ちゃんは眉を釣り上げる、それじゃあ今度みんな行ってみるかな? と思っていると……
『少年君っ!』
「ん? なっ!」
オレは息を飲んだ。
突然遊園地の乗り物や建物がいきなり奇妙な形に変形していった。
メリーゴーランドならまだいいが観覧車やジェットコースターなんて逃げ道が無いから人々はパニックに陥る、楽しいはずの遊園地はまさに地獄絵図のようになった。
「こんな近くで?」
「まずいぜ、確か学と加奈葉がいるはずだ!」
オレは麒麟と朱雀に頼む、美和さん、拓朗、香穂ちゃんも付いて来てくれるみたいだ。
『分かった。だが相手の正体が分からない以上気をつけろ』
「ああ」
オレ達は一度庭に出て麒麟と朱雀の力を解放して遊園地へワープした。
作品名:陰陽戦記TAKERU 後編 作家名:kazuyuki