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陰陽戦記TAKERU 後編

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 その翌日、俺は朝のニュースで佐伯動物病院の爆発事故の事を知った。
 朝食を終えて駆けつけると警察とマスコミが周りを取り囲んでいた。
「おいおいマジかよ?」
 動物病院の壁に大きな穴が空いていた。
 ガス爆発でも起こしたか?
『だがその割りに壁は焦げてない、凄い力で破壊した後だ。しかも内側から……』
「先輩!」
 するとそこへ拓朗と香穂ちゃんがやって来た。
 拓朗も今朝のニュースを見たんだろう、香穂ちゃんとは途中で会ったって所か、
「何これ?」
「さぁな、少なくとも強盗って可能性は低いな……」
 強盗なら金目の物を奪って逃げるはず、壁を破壊する理由が無い。となると怨恨か営業妨害か?
「あ、佐伯さん!」
 すると拓朗が人込みの中から小春ちゃんを見つけた。
「拓朗君……」
 すると小春ちゃんは顔を顰めると拓朗に飛びついた。
「うわっ、大胆!」
「子供には早い」
 俺は最近マセてる香穂ちゃんの目を塞いだ。
「ううっ……」
 俺は拓朗の腕の中で小春ちゃんが泣いているのに気付いた。
 そりゃ自宅が壊されてりゃ泣き出すよな……

 俺達は通学途中で小春ちゃんから事件の事を尋ねた。
 それは昨晩、2階にある自分の部屋で眠っていると突然動物達が泣き出したと言う、
 気になって様子を見に行こうとすると何かが爆発する音が聞え、御両親と駆けつけると壁が砕けていたと言うのだ。
「一体誰があんな事を……」
「小春ちゃん達や動物達が無事だっただけでも良かったよ」
 元気の無い小春ちゃんの肩に拓朗は手を乗せる、
「……なぁ、こんな時にこんな事を聞くのもなんだけど…… 何か変わった様子はなかったか?」
 今はそっとして置く方がいいんだろうけどとりあえず尋ねてみる、
「……変わった様子ですか? まぁ1つだけ」
 それは昨日俺に威嚇してきた犬の檻が壊されて表に飛び出して行ったと言うのだ。
「逃げ出したのか?」
「……逃げたかどうかは正直分かりません、何しろ私達が来た時にはもういなかったんです」
「そうか……」
「あの」
 すると小春ちゃんは俺を見て頭を下げた。
「ありがとうございました。先輩のおかげで少し気が楽になりました」
「ん、そうか? そりゃ良かった」
 彼女も俺の後輩だ。
 少しでも元気になってくれればそれがいい、
「じゃあ僕達はここで」
「私も」
 学校が違うので3人と別れると俺は自分の学校へと向かった。