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陰陽戦記TAKERU 後編

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 俺は商店街を歩いていた。
「美和さんへのプレゼント、美和さんへのプレゼント~……」
 正直迷った。俺は誰かにプレゼントを渡した事などない、
 小学校の頃に学校で加奈葉や学や他の友達と一緒にクリスマスパーティー開いてプレゼント交換に持ってったくらいだ。
 ちなみに俺が用意したのは百金で買ったパーティー用の鼻メガネだった。
しかし折角の俺の心の籠もった(?)プレゼントは結局自分の所に帰ってきてしまうと言う悲しい結果になってしまった。もっと良い物買えば良かったぜ。
「でも何買えばいいのかなぁ~」
 一応へそくりはあるから金には困らないが何を送れば良い?
 そもそも美和さん自体平安時代の人間だし、その時代の彼女が喜ぶ物がいいのかな?
「なぁ麒麟、何が良いと思う?」
 俺はポケットの中の麒麟に尋ねた。
『俺に聞くな…… そもそも『くりすます』ってのを知ったのが最近なんだ』
「だよな……」
 俺は缶コーヒーを買って飲む、しかし後2日しかない、時間が無いのも事実だった。
 するとその時だ。
 人込みの中で1人の中学生くらいの子供を見かけた。
 よく見ると拓朗だった。
「拓朗?」
 俺は拓朗の後を追いかけた。

 やって来たのは動物病院だった。
 俺は中に入ろうとしている拓朗を呼び止めた。
「あ、先輩」
「よう、どうした? こんな所で?」
「ああ…… ちょっと、」
 拓朗は建物が気になり振り向いた。
 俺は拓朗の案内で中にはいると怪我や病気のペットがいる部屋にやって来た。
「あ、拓朗君」
 部屋には1人の女の子がいた。
 拓朗と同じくらいで黒いストレートヘアの眼鏡っ子だった。その子は白衣を着ながら動物達の世話をしていた。
「こんにちは、佐伯さん」
 拓朗が頭を下げる、
 すると佐伯と呼ばれた女の子は俺を見た。
「そちらは?」
「あ、俺は……」
 俺は言葉に詰るが拓朗が言って来た。
「この人は僕の先輩の藤岡武さん、僕達の中学の先輩だよ。」
「……ああ、拓朗君がいつも言ってる。始めまして、佐伯小春です」
 小春ちゃんは俺と面を向かって頭を下げた。
「俺は藤岡武…… って自己紹介はいらないか」
 俺は微笑した。
「じゃあ小春ちゃんも獣医を?」
「ええ、まだ手伝い程度しか出来ませんけど……」
「それで僕も無理を言って手伝わせてもらってるんです、だけど……」
 拓朗は1つの檻を見た。それは1匹の黒い大きな犬が居た。足や体に包帯が巻かれていて伏せている。
「この犬がどうかしたのか?」
 俺が近づこうとするが途端犬は目を見開いて俺に向かって牙を剥いた。
「グルルル……」
「うおっ?」
 俺は思わず驚いた。
「……その犬、人間に痛めつけられたんです。」
 一週間ほど前、小春ちゃんが川原から怪我をしたこの犬を拾ってきたと言う、
 恐らく誰かに殴られたらしく、体中傷だらけで骨折もしていたと言う、
「ひでぇ事しやがるな……」
 人間の中にも平気で動物を虐待する奴がいる、
 人間だけがこの地球に住んでるって訳でも無ってのに……