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陰陽戦記TAKERU 後編

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 香穂と窮奇は間合いを取って武器を構えた。
 2人供この場合先に動いた方が不利だと言う事が分かっていた。
 先に仕掛けたのは窮奇だった。しかし力ではなく口の方でだ。
『……正直驚きましたよ、君が底まで強いとはね』
 香穂の顔をした窮奇は皮肉をたっぷり込めて笑みを作ると香穂に向かって指を差した。
『それだけの力があれば誰も君には逆らえない、この国どころか世界を自由にする可能なのですよ? 何故それをしないのですか?』
 窮奇の問いに香穂の答えは……
「そんなのいらない、国も世界も必要ない!」
『ほう、何故ですか? 欲しい物は全て手に入るのですよ? 金も力も全て!』
「全てじゃない!」
 香穂は窮奇を睨みつける、
「いくら力があってもお金があっても、友達がいない!」
『友達? そんな物は幻、ある訳がないのですよ。先ほども言いましたけど所詮人間など他人同士、信じられる人間など1人も……』
「そんな事無い、皆がいる!」
 半年前に香穂は大事な者全てを失った。
 火事で家族や家を失い、学校が変わってから自分は心から笑った事が無かった。
 しかし武や白虎と出会い分かった。
 失った物は元に戻らないがそれを守る事は出来る。悲しみを知った自分だからこそ立ち上がり人の為に戦える事を、
「私はもう1人じゃない、私が信じる人達の為に、信じてくれた人達の為に私は戦う!」
 香穂の言葉に窮奇は口元を歪めて歯を軋ませた。
『信じる…… 一々虫唾が走る言葉だッ!』
 窮奇が自分の陰の気を薙刀に集中させると黒く巨大な刃となって黒い風が纏わりついた。
 一方香穂も自分の法力に陽の気を上乗せすると光の刃が巨大化して白い風が纏わり付く、
「はぁああ――――ッ!」
『キェエエ――――ッ!』 
 聖獣と魔獣、白と黒の2つの刃が交差すると強烈な閃光と衝撃が生じて武達の方まで飛んできた。
「うわっ!」
 武達は何とか吹き飛ばされずに済んだ。
 そして窮奇と香穂は互いに地に降り立った。