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陰陽戦記TAKERU 後編

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『グオオオオッ?』
 何が起こったのかは分からなかった。
 ただ香穂ちゃんが光輝いて黒いオ―ラを弾き飛ばした。
 そして目の前には白虎の杖を持った香穂ちゃんが立っていた。
「良かった。無事だったか……」
 俺は近づこうとするが香穂ちゃんは何かに気付いて後を振り向いた。
 そこには香穂ちゃんから追い出された黒いオーラが1つに固まりやがて人の形になっていった。
『……よくもやってくれましたね、この代償は高くつきますよ!』
「なっ?」
 黒いオーラは香穂ちゃんになった。
 だけど窮奇の薙刀と鎧と身に纏った香穂ちゃんだった。
『恐らく香穂と繋がってた影響だろうな、香穂の闇の心が窮奇の力で実体化したんだ!』
 つまり香穂ちゃんの姿をした窮奇って事か、
 確かに相手の中身はそうらしい、女の子の姿で男言葉は気持ち悪いけどな……
 すると余裕ぶって上に向いていた香穂ちゃん(窮奇の方)の口元が歪んだ。
『最早食い殺すだけでは飽きたらぬ、八つ裂きにしてやるから覚悟しろ!』
 とうとう本性を表しやがったか、
 俺が鬼斬り丸を構えるが香穂ちゃんが自分の左手を伸ばして俺を遮った。
「待って、こいつは私が倒すから」
「だ、だけど……」
『そこで見ていたまえ少年君、愛の力って奴をね』
「し、白虎止めて!」
「は?」
 愛? こんな時に何言ってんだこいつは?
『愚かな、この前私に負けた事を忘れたのか? ちんけな風しか操れないお前達では私には勝てないのが分からないのか?』
 窮奇は吐き捨てるが白虎と香穂ちゃんが言い返した。
『モテない男のひがみってのは嫌だねぇ、そうやって過去の栄光にこだわってるから香穂にふられるんだよ』
「ちんけなのは貴方の方よ、人を裏から操るしか脳が無いクセに!」
『き、貴様ァァッ!』
 逆上した窮奇が咆えると周囲に台風がきたかのように突風が吹き荒れた。
 俺はアスファルトに鬼斬り丸を突き刺して吹き飛ばされないようにするが香穂ちゃんはこの風の中を何事も無いかのように立っていた。
「いくよ、白虎!」
 何だかいつもの香穂ちゃんと様子が違っていた。
 どこか凛としていて力強さを放っていた。
「私は絶対に負けない、自分なんかに絶対負けない!」
 香穂ちゃんが目を見開くとその時だ。
 白虎の杖が粒子状に分解、香穂ちゃんの体に纏わりついて変化した。
 全てが白い、虎の顔を模した兜に虎の手を模した肩当てと胸には白虎の宝玉が装着された胸当て、虎模様の篭手と脛当て、そして腰には虎の尾がベルトになり虎模様の袴と言う姿になった。
「変身したっ?」
 これには俺も驚いた。
 美和さんだけでなく香穂ちゃんもだ。
『さぁいくよ、悪香穂(白虎命名)退治だ!』
「うん!」
 香穂ちゃんが胸の白虎の宝玉に手を当てると先端が白虎の顔になった杖が出現、口が全開するとそこから光の刃が出現して光の薙刀となった。
「はあああっ!」
 香穂ちゃんが窮奇に向かって特攻する、
 しかし窮奇も薙刀を振るってその刃を交差させる。
『キエエエッ!』
 窮奇が香穂ちゃんを押し返すと翼を広げて飛翔、
 すると羽根から黒い五寸釘くらいの針の雨が香穂ちゃんに向かって降り注いだ。
「はっ!」
 香穂ちゃんが薙刀を旋廻させると全ての針の雨を振り払った。
 次に香穂ちゃんは膝を曲げて大ジャンプ、窮奇と同じ位置に浮かんだ。
「武様っ!」
 するとそこへ美和さんがやって来た。拓朗も一緒だった。
「えっ、香穂ちゃんが2人?」
「片方は窮奇だ」
 俺は窮奇が香穂ちゃんの姿をしている理由を話した。
 そして香穂ちゃんは白虎を鎧化させて戦っている事を……