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陰陽戦記TAKERU 後編

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 辺り一面真っ黒で何もない世界、ここは香穂の心の中だった。
 どす黒い瘴気に飲み込まれ深い闇の中に落ちつつあった。
『香穂ッ!』
 目を開けるとそこに1つ、小さな白い光があった。
 球体状の光はやがて自分の相棒の姿に変わって香穂の胸に飛び込んだ。
「白虎!」
『無事みたいだね、香穂』
 白虎が香穂の顔を見るが香穂はまともに白虎を見る事はできなかった。
 敵に唆されたとは言え結果的に白虎を裏切り窮奇と供に武を襲ったのだ。
『香穂、君は何がしたい?』
「え?」
『君が今何をしたいか言ってみなよ、後の事とか考えずにさ』
「私……」
 香穂は口ごもると思い切って胸の中に溜め込んだ物を言葉にした。
「私、好きな人がいるの、でもその人が私の事を何とも思ってなくて良い、私の為に戦ってくれた人の為に戦いたい!」
 かつて自分の1番の友達だったジョン、
 鬼になって消滅してまで自分を守ってくれた愛犬を救ってからの知り合った彼に抱いていた憧れ、
 いつしか本当の兄のように慕っていたがやがて憧れは小さな恋に変わっていた。
 悲しい時にその者の元へ行けば慰めてくれる、辛い時に行けば元気付けてくれる。
 その者に愛する者がいると分かっていても自分が彼に出来る事がしたいと心の底から願った。
『……分かった。その願い叶えよう。香穂』
「うん……」
 白虎が微笑すると香穂は頷きながら白虎を抱きしめた。
 途端香穂と白虎が眩い光に包まれた。