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陰陽戦記TAKERU 後編

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 白虎が物凄い剣幕で窮奇を見ると窮奇は言葉を失った。
『奇遇だね香穂、実を言うと僕だって今の君が大嫌いだ!』
「……ッ!」
 香穂ちゃんは両肩をビクつかせると瞳に涙を浮かべた。
 確かに完璧に操られて無いってのも当ってるだろうけど……
『いつもいつも無駄な事ばっかり、いくら形だけの特訓なんかしたって強くなれる訳ないだろ!』
「おい白虎、お前何言ってんだ?」
 しかし白虎は俺に構わず続ける。
『香穂が弱いのは自分に自信が持てないからだ、いつもクヨクヨしてて引っ込み事案だから自分の力の半分も出せないんだろうが!』
『やっぱりな……』
「どういう事だそりゃ?」
 麒麟は言った。
 香穂ちゃんから感じられる法力の波動が美和さん程では無いがかなり高らしい、
 だけどどう言う訳か自分自身でそれを封印していると言う。
『香穂は弱くない、いつも弱い弱いって思い込んでるからそれ以上強くなれないんだ!』
 俺は香穂ちゃんを誤解してたのかもしれない、
 香穂ちゃんは大人しいんじゃない、単に『NО』と言えないだけだったとしたら……
考えてみれば今まで自分から積極的に動いた所を見た事が無い、
 いつも他人の事ばかり考えて自分の事はほったらかしにするタイプだ。
 つまり香穂ちゃんは良い子過ぎたんだ。
『僕は自分で気付いて欲しかった。それで色々やったってのに…… まさかこんな事になるなんてね』
 いつもやって来た事って言うと女(雌猫)遊びに夜遊び、その他悪戯に今回のつまみ食い、それが香穂ちゃんの為だってのか? 
『言いたい事があるならハッキリ言えば良い、やりたい事があるなら遠慮するな! 自分だって人間なんだから自分の幸せも望んで戦え!』
「うっ、うう……」
 するとその時だ。
 窮奇を持つ香穂ちゃんの手が震え出した。
『何を迷うのです香穂? 君には私が居る。他の者の言葉など聞く必要は無い! 所詮人間など他人同士、信じられる者など誰もいない!』
「ああっ…… あああああっ!」
 香穂ちゃんは左手で頭を抑えて地面に膝をついて苦しみ出した。
「香穂ちゃん、どうした?」
「……お、お兄…… ちゃん……」
 すると香穂ちゃんの身体から黒いオーラが噴出した。
 もしかして窮奇の陰の気が抜けて洗脳が解け始めてるのか?
『チッ、所詮子供か…… ならば!』
 すると窮奇が薙刀からガス状になると香穂ちゃんの体に入り込んだ。
「うあああああああっ!」
 香穂ちゃんは苦しみながら体を仰け反らせた。
「香穂ちゃんっ!」
『魔獣が香穂の体の中に入って操ろうとしている、武、早く助けないと香穂の魂が崩壊する!』
「分かった!」
『待て少年君、青龍の力を使え!』
「青龍? そうか!」
 俺は突きの構えを取ると青龍の力を解放、さらに朱雀の力で増幅させると一気に解き放った。
「りゃああっ!」
 金と赤と青の光の刃が伸びて黒いオーラを突き破って香穂ちゃんの胸に突き刺さる、
 するとその隙間を塗って白虎が飛び込んだ。
『香穂ォ―――っ!』
 白虎が具現化を解いて宝玉に戻ると鬼斬り丸の刃に吸い込まれて香穂ちゃんの中に入り込んだ。