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陰陽戦記TAKERU 後編

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 一方、風祭神社から数キロ離れた場所にある港の倉庫街、
 ここに香穂は捕らえられていた。
「う……ん……」
 目を覚ました香穂は見知らぬ場所を見回す。
 すると目の前に黒い不気味な影が現れて背筋も凍るような薄気味悪い声が聞えてきた。
『気が付きましたか?』
 影は次第に形を作ってゆく、
 それは自分と同じ大きさの窮奇だった。
「あ、アナタは……」
 香穂は身構える、
 すると窮奇は目を細めて言った。
『まぁ落ち着きなさい、私は君と話がしたいだけですよ』
「話?」
 窮奇は頷く、
『確か香穂と呼ばれていましたね、どうですか? 私と契約しませんか?』
「えっ……」
 香穂はあっけにとられた。
「私を受け入れれば君は今よりもずっと強くなれますよ」
「ふ、ふざけないで! 誰がアナタとなんか!」
 香穂は今まで四凶がしてきた事を思い出した。
 建物や町を破壊し、人々を苦しめた魔獣を受け入れるなどできるはずがなかった。
『別にふざけてなどいませんよ、私は君の為を思って言っているのですよ』
「私の?」
『ええ、君からは聖獣の力を感じられない…… すなわち聖獣が見限ったと言う事ですよ』
「見限るって、私は……」
『君に愛想を尽かして聖獣は君から離れたのでしょう、でなければ契約者から離れるはずがない』
「そ、それは……」
『それは聖獣だけでなく君の仲間もそうですよ、所詮人間など他人同士、用がなくなれば捨てる、利益があるからこそ人は戦えるのです』
 その言葉に香穂は何も言えなくなった。
 確かに自分が一番役に立ってない、
 自分は速く動けるだけで美和や桐生と違い大した戦果を上げていない、
 拓朗と違い誰かの傷を癒す事もできない、
 そして毎日特訓を繰り返してもちっとも薙刀の腕ではちっとも上達していない。
『ですが大丈夫ですよ、私は君を裏切らない、決してね……』
 窮奇の目が怪しく輝くと香穂の目から光が失われて肩から力が抜け落ちる。
『さあ、私を受け入れるのです。私の可愛い香穂』
「……はい」 
 窮奇が姿を変えると香穂は右手を伸ばしてつかみ取った。