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陰陽戦記TAKERU 後編

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 アスファルトの道路を窮奇は駆け抜けた。
『フハハハッ! 壊れろ壊れろ!』
 窮奇は口から光弾を放って町を破壊し始めた。
 電柱が砕かれて建物の残骸が降り注いだ。
『もはや完全復活を待つまでも無い、このまま町を破壊しつくしてやる』
「そんな事させないもん!」
『ムッ?』 
 すると目の前に1人の少女が立ちふさがった。
 それは白い着物と黒い袴にスニーカーと言う井出達の香穂だった。
 しかし窮奇は止まる気配はなかった。
「これ以上勝手なマネはさせないもん!」
『行くよ香穂!』
「うん!」
 香穂はうなづくと白虎の杖を構えた。 
「はっ!」
 突きだした杖の先端から白い竜巻が発せられる、
『フンっ!』
 しかし窮奇が口を開くと黒い竜巻が発せられた。
 2つの竜巻が衝突しあい辺りに突風が吹き荒れる、
「きゃあっ?」
 体重の軽い香穂は吹き飛ばされてアスファルトに尻餅をついた。
『くっ!』
 窮奇も急ブレーキをかけて立ち止まった。
『おや、貴女は……』 
「くっ」
 香穂は顔を顰めて立ち上がる、
 すると窮奇は口の端を上にあげた。
『あの時いましたね、聖獣の契約者でしたか…… どうやら貴女達も風を操れるみたいですね』
『他の連中はいないのかい? いるんなら出したらどうだい?』
 白虎が言うと窮奇は言い返した。
『その必要はありませんよ、たかが聖獣1匹と子供1人…… 私だけで十分ですよ!』
 窮奇が目を見開くと目から怪光線が発射された。
 香穂は超スピードで回避すると窮奇の背後を取って杖を振りかざそうとする、しかし、
『甘い!』
 窮奇は前輪を持ち上げて回転した。
「きゃっ?」
 ドリフトで弾かれた香穂は地面に転がる、
 窮奇のドリフトが加速を続けると空気が渦を巻いて巨大な竜巻となった。
 竜巻となった窮奇はアスファルトを砕いて香穂に迫る、
『どうしました? 所詮子供1人じゃ私には勝てませんか!』
「このっ!」
 香穂は杖から風の刃を放つが窮奇の風の鎧が弾いてしまった。
「えいっ! えいっ!」
 今度は竜巻を出して押し返そうとする、 
 しかし窮奇の竜巻の威力をほんの少し抑えただけで止まる事は無かった。
「くっ……」
 白虎を持つ香穂の手が震えた。
 窮奇の強力な攻撃を防ぐために香穂の法力は底をつこうとしていたのだった。
『どうしました? 風の力が弱まってますよ?』
 窮奇はその事を知っていた。
 苦しむ香穂の顔を見て窮奇は残忍な笑みを浮かべる、
 するとその時だった。
「待ちやがれ!」
 窮奇は声のした方を見る、
 するとそこには金色の聖獣に乗った2人組の男女が自分に向かって迫って来ていた。