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陰陽戦記TAKERU 後編

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 一方俺達は買い物の途中で突如凶悪な気配を感じた。
 今いるスーパーからすぐ近くだった。
「美和さん!」
「ええ!」
 俺達は買い物そっちの気で表に出て気配のした方に向かった。
 現場は走って5分くらいの国道の交差点だった。
 そこにいたのは白い虎の頭に棘だらけの車体に翼を模したマフラー、俺も雑誌で見た程度だから良くわからないが750(ナナハン)のようなバイクに跨った棘だらけの両肩の黒いライダースーツに黒いヘルメットを被った男だった。
「この気配は…… 鬼? いえ、でも……」
 美和さんは考え込んだ。
 するとオートバイのマフラーから黒い煙を噴出しながら俺達に突撃してきた。
「あぶねっ!」
 俺達は左右に飛んで交わす、美和さんはまだ相手の正体を気にしてるみたいだけど今はそんな事どうでもいい。
「麒麟、頼むぜ!」
『分かった!』
 俺達が相棒に頼むと俺には鬼斬り丸が召喚された。
「行くぜ!」
 俺は白虎の力を呼び出してアスファルトを蹴ると鬼に向かって一直線に走ると大ジャンプ、鬼に向かって光の刃を振り下ろした。
『武待て!』 
「えっ?」
 麒麟に言われて俺は光の刃を止めて地に降りる、
『その男は鬼じゃ無い、鬼に操られてる。』
「本当か?」
 別に麒麟を疑う訳じゃ無い、確に鬼に寄生させられたりして操られている場合もあった。
 だけど今回は少し違うと言う、すると……
『ククク…… さすが聖獣の長ともなると察しが良いですねぇ。』
 突然不気味な声が耳に入った。見るとオートバイの虎の両目が怪しく輝き口の端が上がった。
 そう言えばこいつには見覚えがある、遊園地で会った魔獣の1人だ。
「テメェ、確か窮奇!」
『おやおや、意外と物覚えが良いんですねぇ……』
「そりゃどうも、」
 俺は皮肉たっぷりに返す、だが窮奇はお構い無しに喋りやがる。
『貴方達とは戦うには時期が早いと思ったんですけど…… まぁいいでしょう、肩慣らしにはちょうど良い。』
 窮奇が口を開けると10を越える紫色の怪光弾が放たれた。
『美和っ!』
「ええっ!」
 朱雀に言われて美和さんが右手を伸ばすと弓が召喚されれる、そして弓を引くと美和さんは拡散型の光の矢を放った。
「散ッ!」
 光の矢は全ての光球を討ち抜いて爆発する。
 すると窮奇の目が怪しく輝いた。
『やるものですねぇ…… でもこれならどうです?』
 すると窮奇に跨っている男はアクセルを吹かして俺達に突っ込んでくる。俺と美和さんは左右に飛んで交わす。
「こうなったら青龍で……」
 俺は鬼斬り丸に青龍の力を上乗せして窮奇の上の人間を切る、だが男には何の変化も無かった。
「何?」
 信じられなかった。
 それどころか男は窮奇の前輪を持ち上げて俺に突っ込んでくる。
「止せ、一体何だって…… ぐっ!」
 前輪が俺を押しつぶそうとしたので俺は横に跳んで交わすが男の腕がハンドルから離れると俺の首をつかんで持ち上げた。
「がっ……」
 何て力だ。いくら男だからって俺と同じくらいの背丈で片手で持ち上げられる訳が……
「……けて……れ……」
「なにっ?」
 俺は男の言葉を聞いた。
「助けて……くれ……」
 助けを求める、つまりこいつは鬼に操られてないって事になる。
 俺は何とか男の腕を振り払って締められた首を擦りながら呼吸を整える。
「……おい、一体どう言う事だっ?」
 俺が窮奇を見と窮奇は訳が分からないように逆に尋ねてきた。
『何を怒っているのです? その男は敵なんですよ?』
「敵じゃねぇ! って言うか聞いてるのはこっちだ。テメェ、この人に何しやがった?」
『別に…… ただ陰の気を奪っているだけですよ。』
 窮奇は引ったくりを行った男のヘルメットに自分自身が造り出した鬼を憑依させる事で体の自由を奪い、自分はオートバイと融合、男にハンドルを握らせる事により陰の気を奪っているのだと言う。
『我々はまだ完全に復活していないのでね、こんなクズでも無いよりはマシですからね。』
「クズだと?」
『当然でしょう、人間なんて所詮我々の糧でしかないんです…… ああ、安心してください、この男は陰の気を根こそぎ奪ったら返して上げますよ、ですからもう少し……』
「うるせぇ!」
 俺は後ろに跳んで間合いを開けると鬼斬り丸の切っ先を窮奇に向ける。
「テメェ、許さねぇ! 今すぐぶった切ってやる!」
 だけど俺達には打つ手は無かった。
 いくら何でも生きた人間を攻撃する訳にはいかない、むしろオートバイの方を攻撃しようもんならガソリンに引火して爆発しちまう。何としてでも乗っている人間を引き離す必要がある。
 こう言った場合はガソリン切れを待つのがセオリーだが動いてるのは窮奇本人、ガソリンなんて関係ないだろう。
「一体どうすれば……」
 美和さんも敵には火気厳禁だって事は分かってる。うっかり本気出して攻撃しよう物なら上の人諸共木端微塵だ。
『どうしたんですか? 威勢の良い事を言っても所詮は口だけですか?』
「くっ……」
『ではそのまま見ているのですね、この町が木っ端みじんに砕けるのをね!』
 窮奇はマフラーを吹かしてオレ達に背を向けて走り出した。
「待てっ!」
 そう言われて待つ奴はいない、
 奴を町中に走らせたら大変な事になる、
『武、乗れ!』
 するとポケットの中から麒麟が飛び出して俺の横に具現化する、
「分かった。美和さんも!」
「はい!」
 俺達は麒麟の背に乗ると窮奇を追った。