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陰陽戦記TAKERU 後編

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 その頃、町中で1人の男がオートバイを走らせながら前を歩いていた女性の手提げカバンを奪って逃走した。
 奪われた女性は引ったくりの出現に周囲に助けを呼ぶ、
「へへっ、チョロいもんだぜ」
 引ったくりは有頂天だった。
 しかし目の前に突然黒い雲のような物が飛んでくると白い虎に翼が生えたような奇怪な生物となった。
「ヒィィッ! 化け物っ!」
 引ったくりはバランスを崩してオートバイから転倒する。
 しかし怪物は男よりも目の前にある乗り物が気になった。
 窮奇は前足を横たわる車体に乗せると血のように赤い瞳で全体を見回す。
『なるほど、これがオートバイと言う物ですか…… ここに来るまでに結構見てきましたが結構良い物ですね……』
 窮奇が丹念に調べていると引ったくりは我を取り戻していきなり現れた怪物に向かって叫んだ。
『本当なら貴方のような小者に興味は無いんですけど…… 贅沢は言ってられませんからね』
 窮奇が口を開くと黒い球体が飛び出して男の額に張り付き皮膚の中に吸い込まれて行った。
 途端男が眼を見開いて立ち上がると両手を振るって大きく叫んだ。
「オオオオ――ッ!」
 その瞬間引ったくりの体中から黒い煙が噴出すと全身を包みこんだ。
 それを見た窮奇は口の端を上げて笑った。