陰陽戦記ＴＡＫＥＲＵ 後編
「安心しろ、死ぬ気はねぇ…… って言うか俺はまだ１８だぜ？ やる事はたくさんあるんだよ」
俺は言う、今までだって勝てる見込みなんて殆ど無かった。
今だってそうだ。だけど戦いを通して分かった事がある、
可能性なんて自分の意思１つで０にも１００にもなるって事だ！
「みんな、俺に力を貸してくれ！」
俺が立ち上がって一旦麒麟の鎧化を解除する、
俺の左手に納まると美和さん達も鎧化を解除して聖獣達を元に戻した。
「分かりました。先輩に任せます！」
「私も、お兄ちゃんを信じる！」
「仕方ない、やって来い！」
「私達の力、受け取ってください！」
みんなの力が宝玉に込められると俺に向かって解き放たれた。
赤・青・白・黒の光が俺の体に纏わりつくと俺は金色に輝く麒麟の宝玉を空に向かって掲げると５つの光が１つになった。
「ぐううぅっ！」
眩い閃光に俺は吸い込まれた。
体が焼けそうに熱かった。
体が痛くてバラバラになりそうだった。
まるで何かがのしかかってくるみたいに重い……
「うおおおぉぉ―――――ッ！」
光が俺の体に触れると具現化していった。
青龍の顔を模した篭手、亀の甲羅が三重に重なった重なった肩に虎の顔が生えた胸当て、真っ赤な翼状の長い垂と朱雀の顔を模したベルトと青龍の尻尾と朱雀の尾羽が生えた垂、膝から下が鱗が幾つも重なった足甲、そして麒麟の頭部に青龍の鰭が左右についたような兜となった。
そして鬼斬り丸も刀身に赤・青・金・白・黒の宝玉が嵌まり、星型の鍔の両手剣に変形していた。
「な、何っ？」
道真は驚いた。
だけど道真だって四凶と同じように合体したんだ。おあいこのはずだ。
「くっ、そんなこけ脅しでぇー――っ！」
道真はついに頭上の球体を俺に向かって放ってきた。
「消えて無くなれ！」
黒い球体は石畳を砕き、それを吸い込みながら近づいてくる、球体状のブラックホールってところか……
「絶対させねぇ！」
俺は鬼斬り丸を上段に構え直すと刀身の聖獣の宝玉が輝き出して刀身が北野天満宮の社よりも大きな刃になると渾身の力を込めて振りおろした。
すると黒い波動と俺の刃が互いにぶつかると眩い閃光が解き放たれた。
バチバチと火花を散らし、溢れ出したエネルギーが周囲を砕き、道真を頭から切りさいた。
同時に俺の攻撃も止んじまった訳だが道真は驚きのあまり表情を強張らせた。
「ぐあああああぁぁ――――――っ！」
道真は唐竹から切り裂かれ、切断面から光が溢れ出した。
「お、おのれぇっ！」
道真の身体から黒い影が抜け出ると空中で夏に出会った暗黒天帝の顔となった。
作品名：陰陽戦記ＴＡＫＥＲＵ 後編 作家名：kazuyuki