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陰陽戦記TAKERU 後編

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最終話 時を超えた想い


「やったか?」
 だけどまだ油断は出来ない、俺達は得物を構える、
 道真は血の代わりに吹き出す陰の気を留めようと両手で破損した四凶の鎧を抑えながら歯を食い縛りながら俺達をにらみつけた。
「お…… おのれぇ――――っ!」
 カッと見開いた道真の目が怪しく輝くと大きく咆えた。
 陰の気が爆発したかのように弾け飛ぶと俺、学、拓朗、香穂ちゃんは美和さん達の方にまで吹き飛ばされた。
「武様! みなさん!」
「学っ!」
「くそっ?」
 桐生さんが銃を乱射するが道真の周りには陰の気が渦を巻いて光の銃弾を防いだ。
 しかし陰の気は防御の為にあるのでは無かった。
 陰の気はやがて道真の頭上で大きな球体状に固まった。
『まずいぞ武、奴は一気に陰の気を解放するつもりだ!』
 麒麟が言って来た。
「それってどうなる?」
 嫌な想像しかできないけど聞いてみる、
『あれだけ圧縮した陰の気なら…… 恐らくこの辺一帯吹っ飛ぶぞ!』
 本当に嫌な事だった。
「くそっ、こうなったら……」
 俺はありったけの法力を鬼斬り丸に注ぎ込む、
「武様っ?」
「美和さん、俺が奴の攻撃を食い止める、そうしたら皆で奴を攻撃してくれ!」
「そんな、ムチャですよ先輩!」
「お兄ちゃん、死んじゃうよ!」
 拓朗も香穂ちゃんも止めようとするが俺は辞める気は無い、むしろこれはチャンスだった。
 奴は大技を仕掛けようとしている、つまり切羽詰った証拠だ。
「奴は追い詰められたから大勝負に出たんだ。何とかすれば奴の陰の気は無くなる! それに止めなきゃ被害者が出るだろ!」
「確かに……」
 桐生さんは納得してくれた。
「だけど、それじゃ武が1人になるじゃ無い!」
「そんなの駄目だ!」
 学が叫んだ。
「それじゃ奴と同じだ! 誰かを犠牲にして出来た平和なんて意味が無い! それにさっき大技使ったんだから殆ど力なんて残ってないはずだ!」
「やってみなきゃ分からねぇだろ!」
 そりゃ俺だって自信がねぇよ、俺だって戦い続きで法力なんて殆ど残ってない、確かに俺は助からないだろう…… だけどやるしかない!
 この中で奴に対抗できるのは麒麟の力を持つ俺だけだ!
 学だって俺と同じのはず、しかも『バッテリー』って言ってたから何時切れるか分からない、
『武、待て!』
 麒麟が止めて来た。
「何だよ? 集中できねぇだろ!」
『いい事が考えがある!』
「えっ?」
『状況から考えて下手に受け止めるよりこのまま突き抜けた方がいい!』
「だけど、俺じゃあんな攻撃受け止められるかられないか……」
「やっぱダメなんじゃない!」
「うっ……」
 口が滑ったので加奈葉が目を吊り上げた。
 だが麒麟は続けて言ってきた。
『俺達全員の力を使うんだ!』
 麒麟は他の聖獣、すなわち朱雀・青龍・白虎・玄武の5体の聖獣の力を俺に集中させると言う、
「それっていつもやってるだろ?」
『私達の力を直接引き出すのと麒麟を通して使うのとでは全く違うわ、だけどこれは凄く危険なのよ』
『聖獣の契約は魂との契約、5体もの聖獣と同時契約すれば貴方もただでは住みませんよ!』
『下手すれば少年君は死ぬよ、かつてそれをやって命を落とした者がいるんだ』
『お主の前の麒麟の前の主だ。』
 美和さんの元彼か……
『彼は暗黒天帝の体を四つに切り裂いたがそこで力尽きた』
『白虎も言ったが下手をすればお前も死ぬ、それだけの覚悟があるのか?』
「………」
 その言葉を聞いて俺は一旦目線を落とした。
 確かにさっきまでのは勢いだったかもしれない、恐怖なんて無かった。
 だけど麒麟達の話を聞いた後だと命が惜しくなった。
 俺は道真を見る、ありったけの力を凝縮して今にも攻撃を仕掛けてきそうだった。道真は陰の気が無くなっても鬼を作り出して集める事が出来る、
 羨ましいこったぜ、奴はもう死んるから怨霊だけど、俺達は生きてる、死んだらお終いだ。
 考えてる時間は無い、さっきの麒麟達の言葉を胸に俺が出した答えは……